校祖 下田 歌子(女子校)実践女子学園中学校

2021/03/12
校祖 下田 歌子〔1854-1936〕
幕末の武家に生まれます。幼児期に和歌・漢詩を詠んだと伝えられる神童です。十代にして、女官に抜擢され宮中へ出仕。昭憲皇后(明治天皇皇后)は、彼女の和歌の才能を称えて、「歌子」の名を授けます。その後、華族女学校(現学習院女子中高の前身)の教授を託されます。
1893(明治26)年、皇女教育係の内命により、大海を渡ります。先進国の女子教育を学ぶためです。欧米女性の豊富な学識と逞しい行動力に驚きました。そして、誓います。幸福な社会を築くために、上流階級に限らず広くに手をさしのべよう。
1899年(明治32年)、私財を投じ学び舎を開校。40名ほどの女子学生を招きました。校名に「実践躬行」の精神を込めた学園の歴史が幕を開けます。
「伝統」とは、「思想」と「信念」
歌子は、「日本の私学建学者10人」に名を連ねるべき偉人。私の見解ですが、多くの教育者・研究者諸氏に賛同していただけるはずです。この地に育つ諸君は羨ましい。日本の女子教育を牽引した希代のスーパーレディの魂が宿る私学だからです。
日本の教育史・文化史に輝きを放つ屈指の正統名門。一昨年(2019年)、120周年を記念しました。重厚な文化が息づきます。誤解のないよう。「伝統」とは、形として目に映る旧いしきたりとは違う。根に宿る思想です。礎を支える信念です。
数々の歌子の言葉を受け取りましょう。それが実践の思想と信念だからです。発信は19世紀から20世紀初頭期。文語体で記されていながら、まるで、近年に唱えられたかのよう。今、解釈の修正は不要。そのまま、教育改革期の理念に等しい。教授手法や学習ツールが異なっても、使命は同じ。時代に普遍のメッセージを蓄える私学は、時代に不変です。世の変容に慌てて、次々と外壁を塗り替える学校とは一線を画します。
英語指導に長けています。でも、英会話スクールではない。理科教育に力を注ぎます。でも、サイエンススクールではない。大学受験や就職に備えるだけの訓練所は不本意。本意は「全人教育」です。そのために、高邁な「思想」と、強固な「信念」を守り継ぎます。
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