横浜女学院はICTをフル活用して困難も希望に変える!(女子校)横浜女学院中学校

2020/11/30

~「愛と誠」を指針に、「共に生きる力」を培う~

横浜女学院はICTをフル活用して困難も希望に変える!

 

日本プロテスタント発祥の聖地でもある山手の丘の上で、長く歴史を刻んできた横浜女学院。

建学の精神に基づく「愛と誠」を校訓に掲げ、教育理念である「キリスト教教育」「学習指導」「共生教育」を3本の柱として、人間教育を行っています。

伝統を大切にしながら、新たな取り組みにも積極的にチャレンジ。

コロナ禍による前代未聞の困難な状況にも前向きに対応し、さらなる飛躍につなげています。

今回は、広報主任・ICT委員長の宮下直樹先生にお話をうかがってきました。


ふだんの学校生活をオンライン上で展開

 コロナ禍による休校期間、横浜女学院では「生徒の学びを止めない」ために、ICTを活用してさまざまな取り組みを行いました。

「当初は課題を出すだけで対応していたのですが、新学期に入っても休校が続くことが決まり、オンラインでの授業を開始することになりました。ちょうど2年前から生徒にMicrosoft Surfaceのノートパソコンを配布し、今年度は高2まで全員が持っていたので、タイミングもよかったです。オンライン上とはいえ、生徒の顔を見て、やり取りができるようになったときは、心底ほっとしました」と宮下先生はおっしゃいます。高3は個人の所有するタブレットを使うほか、学校からChromebookを貸し出して対応し、新しく入学した中1には一人ひとりの自宅にMicrosoft Surfaceを郵送しました。

「ツールとしてはMicrosoft Teamsで統一し、最初は教材を配信して生徒の質問を受け付けるところから始めて、その後、朝の礼拝とホームルーム、4コマから5コマの授業と続く時間割を組んで、双方向での同時配信を実施しました。これまでも、授業の一環でふり返りのアンケートを発信してもらったり、授業内容を言語化してアウトプットするなど、各教科でICTを使ってきましたが、ここで一気に活用が加速したといえます。」

 先生方の情報の共有も進み、技術力も格段にアップ。生徒にとっては、資料のスライドが見やすかったり、演習の解説をくり返し視聴できるなど、オンライン授業ならではのメリットもあったといいます。

「休校中は、ふだんの学校生活をできる限りオンラインに落とし込もうと考えて対応してきました。その中で、今まで行われていなかった放課後の取り組みや、CLILと他教科との連携といった気づきもあり、新たな第一歩を踏み出すきっかけにもなりました。」

 今後もさらにICTの活用の幅を広げて、対面授業とオンライン授業のハイブリッドな教育を展開していきたいと考えています。

ICTInformation and Communication Technology(情報通信技術)の略で、ITCommunication(通信、伝達)という言葉を加えて、通信技術そのものよりも通信によるコミュニケーションの重要性を強調しています。休校中にはその効果を強く実感しました。本校の教育の柱である『共に生きる力』を培うためにも、大きな役割を担ってくれると確信しています。」

 困難な状況にも前向きに取り組んだことが、新たな希望につながっています。

 

 

休校中の取り組みから生まれた「学びプロジェクト」で、探究力を高める

 休校期間中、オンラインで始めた放課後学習が、「学びプロジェクト」に進化して続いています。これは、先生が設定したテーマについて、一人ひとりが考え、意見を出し合い、学びを深めるプロジェクトで、生徒はスライドなどを作成してプレゼンテーションを行い、ディベートにも挑戦します。今までに「日本人の幸福度はなぜ低いか」「サマータイムは導入すべきか」「死刑制度は是か非か」といった多様なテーマで展開してきました。

「学びプロジェクトは登校再開後もオンラインで実施しています。オンラインなら人数が多くても参加できるし、距離を気にする必要がないので外部の人を招くこともできます。実際、関西の同志社中学校の生徒に参加してもらってディスカッションしたこともあります。生徒同士が高め合う取り組みとして、今後がますます楽しみです。」 


 

Campus Lifeもオンラインで展開


毎朝の礼拝

 毎日の生活が朝の礼拝から始まる横浜女学院。先生から聖句のお話を聞いたり、みんなで賛美歌を歌ったり、聖書を読み進めるなど、自分自身を見つめながら神様と向き合います。休校中も毎朝オンラインで行い、不安な日々の中で、生徒も先生も精神的な支えとなる時間を過ごすことができました。

 

壁のない開放的な職員室

 横浜女学院の職員室には壁も扉もありません。先生と生徒の距離は近く、職員室はいつも、質問したり、相談事を持ち込んだり、他愛のないおしゃべりをする生徒でいっぱいです。休校中もMicrosoft Teamsを使って、放課後いつでも入れる場を設定し、生徒は自由に先生と話すことができました。多くの生徒が利用し、対面していなくても「いつもそばにいる」ことを感じられる空間になりました。

 

さかんな部活動

 横浜女学院の高2生の部活加入率は120%。チアリーディングやダンスなど女子に大人気のクラブがそろう運動部だけでなく、文化部もとても活発なのが特徴で、生徒はみんな熱心に活動に取り組んでいます。休校中は各クラブでMicrosoft Teamsのグループを作って連絡し合い、なかにはオンラインで筋トレや柔軟体操に取り組んだクラブもありました。


 

 

CLIL+ESDで英語力も社会的視野も身につける

 横浜女学院は、文部科学省による指定を受け、CLILESDを2本の柱として指導を展開しています。CLILは「英語『を』学ぶのではなく、英語『で』各教科の内容を学ぶ学習スタイル」、ESDは「持続可能な社会の発展のための教育」です。横浜女学院では、CLILESDを組み合わせ、「探究的学習を英語で進める」ことにより、英語力も社会的視野も身につけていきます。

 休校中はオンラインを駆使し、CLILでも美術科とのコラボという新たなプログラムに挑戦。英語の授業で美術作品をとり上げて、英語でお互いの感想や評価を共有する取り組みで、今回はシャガールの2作品についてペアワークで話し合い、クラスのみんなに向けて発信しました。また、ESDでは調べ学習にICTを活用するとともに、今後はオンラインで外部との交流や取材を行うなど、新たな可能性が広がっています。

CLILContent and Language Integrated Learning)⇒内容言語統合型学習

ESDEducation for Sustainable Development)⇒持続可能な開発のための教育

 

 

 

学校行事もあきらめない 

 コロナ禍で行事が中止になる学校も多いなか、横浜女学院ではできる限りの工夫をして開催してきました。3大行事である「体育祭」「なでしこ祭」「コーラスコンクール」のうち、「体育祭」は中止になったものの、伝統の高3の演技「白鳥」だけは例年通りに実施。「なでしこ祭」はESDのプレゼンや部活動の発表をオンラインで行います。また、「コーラスコンクール」はクラスごとに動画を撮影し、「なでしこ祭」でオンライン上映します。生徒の行事にかける熱い思いとそれを叶えようとする先生方の姿勢が、困難を乗り越える力になりました。

 

 

 

「国際教養クラス」と「アカデミークラス」で、

個性と希望に合わせた将来を実現する

国際教養クラス」は国公立大学や英語で学ぶ国際系大学、さらには海外大学への進学も可能にするカリキュラムで学びます。第二外国語(中国語・ドイツ語・スペイン語)が必修で、語学力をつけるだけでなく、多様な文化を広く経験し、国際社会で活躍する人材をめざします。また、「アカデミークラス」は私立難関大学や理系学部への進学を考えたカリキュラムで学び、基礎・基盤を体系的にしっかり身につけるとともに、中3・高1必修の「学習セミナー」などでハイレベルな応用力も養成。将来、アカデミックに一つの学問を修得することをめざします。どちらも、上智大学、東京外国語大学、AIU、慶應義塾大学などとの高大連携教育で学びの幅を広げながら、希望の将来の実現に向かいます。進学実績も難関大学を中心に上昇しており、注目が集まっています。


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