ここに注目2021年度埼玉県高校入試(受験情報)ムーブ編集部

2020/10/08
ここに注目2021年度埼玉県高校入試
公立高校
学校選択問題4年めで平均点は英・数とも50点台に
 2017年度から上位校の英語・数学で学校選択問題を実施、社会と理科の試験時間が40分から50分に拡大された。これまでと出題傾向は変わらないが、応用的な出題を含む学校選択問題と標準的な問題の2種類が英語・数学の学力検査で実施された。
 2020年度までの学校選択問題の平均点では数学が43.2点→43.7点→53.5点→55.2点と上昇し続けている。英語は71.9点→58.9点→64.3点→58.9点と隔年現象が続いている。どちらも50点台のため、選抜試験としては機能しやすくなったと見ていいだろう。
 一般的な学力検査では数学が44.4点→44.0点→42.3点→67.9点に急上昇し、英語も52.0点→55.9点→47.7点→52.2点と上昇している。数学が1.5倍以上上がったので次年度は少し難度が戻るだろう。
 2021年度の学校選択問題実施校は春日部女子が抜けるが、川口市立が加わるので校数は21校のままだ。新校舎人気が高く附属中学募集も開始する川口市立は普通科・理数科・文理スポーツ科全てで学校選択問題を実施することになる。人気校だけに学力検査の変更によって敬遠傾向がはたらき応募者が減る可能性は少ないと思われる。
□学校選択問題実施校 21校
浦和・浦和一女・浦和西・大宮・春日部・川口北・川越・川越女子・川越南・熊谷・熊谷女子・熊谷西・越ヶ谷・越谷北・所沢・所沢北・不動岡・和光国際・蕨・さいたま市立浦和・川口市立

国語、社会は県予想を上回る平均点
 他の3教科についても見ておこう。
 社会の平均点は63.7点→60.6点→55.9点→60.3点→55.4点と推移。3年前からは2年毎にほぼ同じ点数で推移している。
 理科も39.2点→48.5点→51.7点→44.5点→51.1点と社会と同様、3年前から隔年現象で上下している。
 国語は57.9点→53.3点→52.8点→58.3点→57.2点と上下動の幅が小さく、今年はほぼ前年並みを維持している。

コロナ休校への配慮で出題範囲を削除
 コロナ休校で授業時間が少ない分、学力検査の出題範囲から削除される単元等が7月に公表された。英語では関係代名詞と間接疑問文、数学では相似な図形について日常生活で利用する場面、円周角と中心角、三平方の定理、標本調査が削除される。学校選択問題と一般的な学力検査の両方ともで、都立や神奈川・千葉の公立より削除部分が多い。
 しかし、1都2県では含まれず埼玉でのみ削除される単元を見ると対策を立てやすいものも含まれている。たとえば、円周角と中心角はある程度学習すれば得点しやすい単元でもあるため、数学が苦手な受験生にとってはあまり歓迎できないかもしれない。国語では中3教科書で学習する漢字の読み書き、慣用句、四字熟語が削除。社会では「私たちと経済」「私たちと国際社会の諸課題」で、東京・神奈川と少し違いがある。理科の1分野では「科学技術と人間」のみで、都立の「力学的エネルギー」も含めた削除単元より少ないが、2分野では「地球と宇宙」「自然と人間」で都立より多い。
 削除される単元は入試の学力検査で問われないが、中3で習うべき単元であることに変わりはない。三平方の定理や関係代名詞が出題されないと数学の応用問題や英語の長文問題は少し易しくなる可能性があるが、高校入学後,理解していないとつまづくことになりかねない重要な単元だ。合格すればいいとは思わず、入試後でもいいので学習しておく必要はあるだろう。 
私立高校
県内私立では1月中に合格確保を
 県内私立高校は都内私立高校の推薦入試と同じ1月22日から入試がスタートする。都内と違うのは志望順位に関係なく入試が一斉に行われ、学力検査も実施する点だ。また、千葉のように前期と後期に分かれてもいない。
 多くの私立高校では1月中に入試は確定する。県内私立を受験するなら志望順位に関係なく1月中の合格確保が鉄則だ。
 また、公立志望の場合、私立の合格から40日くらい空いてしまうので緊張感を高めていくのが難しい。そのため、2月10日以降の都内私立入試を活用する受験生も少なくない。

公開模試と公的テストの偏差値を上手に活用
 埼玉県内私立高校の大きな特徴として、公開模擬試験や地域単位で行われている公的テストの結果が影響する点がある。埼玉では以前から調査書より模試などの実力テスト結果が学力を客観的に判断できる、という考えが強い。
 今年度は公開模擬試験が会場で実施できないまま2学期になってしまうので、各校の対応も例年と違ったものになってくる。自宅受験の模試の偏差値では参考にしても基準にはなりづらい、というのが県内私立高校の多くの考えだろう。9月以降、会場模試を実施しようという動きは強くなると思われる。しかし、会場を借りられず実施できなくなると地域の中学毎に共通問題で実施される公的テストの偏差値が重視されるかもしれない。中2の3学期も含めた調査書点を考慮するケースもあるだろう。いつも以上に情報収集が重要だ。
 多くの県内私立高校では複数回説明会を実施、個別相談も受け付ける。受験しようと思う私立高校には何度も足を運び、個別相談を受けることが大事だ。

2021年度 県内私立高校・主な変更点
大宮開成…特進選抜Sコースを廃止
西武文理…英語科募集停止、普通科スペシャルアビリティコース以外はグローバル選抜コース、グローバルコース、理数科先端サイエンスコースに名称変更
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