2023年の新校舎竣工に向け、 高大教育連携、iPad活用の アクティブラーニングなど 様々なプログラムを実施(共学校)千葉商科大学付属高等学校

2020/10/06
2023年の新校舎竣工に向け、高大教育連携、iPad活用のアクティブラーニングなど様々なプログラムを実施
昭和26年(1951年)に創立の千葉商科大学付属高等学校は、2023年度の新校舎完成に向け、ハード・ソフト、さまざまな計画を策定展開しています。
そのベースにあるのは、2026年の創立75周年に向け、独自の経営教育方針を盛り込んだ「Vision75」です。
同校ではVision75を確実なものにして、AI時代に活躍する人間力に溢れた人材を育むために「5つの力」を掲げ実践しています。
生徒が作り上げた「生徒目標」を重視し、これからの時代に身につけるべき5つの力を明確化
 千葉商科大学付属高等学校は、現在、国公立・難関私大を目指す「特別進学クラス」1クラス、大学進学と部活動、資格取得などを中心とする「進学・選抜進学クラス」6クラス、大学と資格取得を目指す最も伝統のある「商業科」3クラスの計10クラスから編成されています。
 同校は創立75周年に向け「Vision75」を策定、「21世紀型スキル」、「キー・コンピテンシー」をキーワードに、独自の経営教育方針を構築しています。
 21世紀型スキルとは、「知識」「技能」「態度」「価値」「倫理」を育むためのスキルであり、またキー・コンピテンシーは、21世紀にふさわしい「国際標準レベルの学力」と「社会的能力を高める」ことを軸にしています。
 さらに一昨年からは「Vision75」に向けた「中期教育5カ年計画」を策定し、実行していますが、同校の浅川潤一校長は「今年は、改めて建学の精神に立ち返り、教員と生徒の理念の共有を強化しています」と強調します。
 浅川校長がなかでも最も重視しているのが、「勤労」「友愛」「礼法」「勤労」の4つの「生徒目標」です。この生徒目標は教員が生徒に向けてつくったものではなく、創立間もない時代に、生徒たちが自主的に提案した目標なのです。同校では、生徒たちが自主的につくりあげたこの生徒目標を尊び、これをベースとして、これからの時代に身につけるべき力として次の「5つの力」として掲げています。
 その1つは「確かな学力」。これはどの時代でも必要な基本的な力です。とくに私大の入試レベルが難化しているということもあり、その対策をしっかり行うのは当然ですが、同校では単に大学の合格レベルの学力ではなく、実社会で中核となる人材となって、VUCA(※)時代を生き抜く応用力のある学力の涵養を目指します。そのために、さまざまな資格取得を支援しています。とくに伝統ある商業科では簿記資格取得を支援
する「瑞穂会」があり、実社会で有利な簿記1級を取得する生徒もたくさん出ています。ほかにもICT関連の仕事に有利となる「ITパスポート」資格の取得や英検などの資格支援も積極的に行っています。
 2つ目は「人間性」です。これからの時代はロボットやAIが進化し、2040年代までには6割の仕事しか残らないと言われています。しかしそれは悲観的な見方で、新しい仕事や技能を生み出すことはまだまだできます。そのために思いやりや共感力を育み、これまでなかった視点や気づきを得る。そういう人間力、人間性を高めていくことがますます求められます。
 3つ目は「グローバル力」です。語学力ということだけではなく、これからは違う価値観の人と違う価値観のなかで、課題や問題発見し、お互いを認め合いながらいかに問題を解決していくかが求められます。まさにその異文化を理解し、配慮し、交渉、主張するのがグローバル力です。
 4つ目は「イノベーション力」です。これはまさに、グローバル力や人間性を高めて見えてきた課題や問題を解決するための、新技術や思考を生み出す力です。
 そして5つ目が「協働性」です。イノベーション力をつけていっても1人だけでそれを発揮することは難しい時代になります。重要なことはいろいろな才能や技術、人間力を持った人たちと協力していけるか。その役割分担ができるかということになります。この協働性をしっかり身につけることで、一人では解決できない困難や課題に対しても挑むことができるようになります。
 これら5つの力を身につけることで、社会のさまざまな要請に応えられる、建学の精神にある質実剛健な人材に成長します。

※VUCA=Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、
Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字
から取った合成語。これからの社会環境の混迷具合、複雑さ表す。
iPadを使ったアクティブラーニング、ベネッセと組んだ学習成果確認
 その具体的な取り組みの1つが、アクティブラーニングの積極的活用です。アクティブラーニングは文部科学省が進める重要教育方針の1つですが、同校ではこれをICTと組み合わせることで、より深く効果的な授業が展開できるようになっています。
 すでにそのツールとして全員にiPadを配布しています。これは2020年度の入試制度改革に合わせたICT対策、「eポートフォリオ」(学習や行動履歴蓄積の電子化)対策取り組みの1つでもあり、その活用プログラムについては、進研ゼミなどで知られるベネッセと取り組んでいます。
「iPadを使った授業では、先生が電子黒板を利用し授業を展開して、さらにそれを生徒が成果物として残していく。教員が『今日はこんな授業をやったので、プリントをつけるから、明日までやってきてください』という展開もしやすくなります。ベネッセさんと提携しているのはベネッセの模試なども全部取り込むことができるためです。試験結果、学習成果が生徒本人だけでなく、教員も共有でき、iPadを通じて各教科の勉強や受験対策、指導にスピーディにつなぐことができますし、相談結果もそこに残すことができます。それだけでなくそのやりとりを保護者も見ることができまので、保護者がお子さんの学習の進捗状況や行動などが把握できます」
 このほか同校では緊急の連絡事項もiPadで出すことができるようになった。

企業との共同による、実地的・実践的な学びによるキャリア教育
 もともと同校は実学教育の伝統があるため、物事を探求するアクティブラーニングへの展開はスムーズでした。最近ではその一環としてクエスト・エデュケーション・プログラム「QEP」に力を入れています。
「QEPは、企業から出されたミッションを生徒が調査してその解決策や現状をまとめ、発表するという『総合探求』の一環です。1年生と2年生は全員参加するのですが、生徒が非常に成長する授業で、企業の方々が“面白い”と評価すると、上位者が全国大会で発表することができます。この全国大会に当校は11年連続で出場しています。
 一方、商業科においては、企業と組んで商品開発の段階からアイデア出し合い、マーケティング調査して開発、製造して販売に至るまで行います。2017年は三州製菓さんとコラボで「フライドパスタスナック」を開発し、東京ディズニーランド内の商業施設「イクスピアリ」で販売しました。2018年度は地元企業である「石釜パン工房サフラン北国分店」との共同で「抹茶クロワッサン」と「おにみそパン」を開発し、店舗にて販売実習を行いました。2019年には松戸市の和菓子「八矢庵」と新しい商品の開発を行いました。こうした企業とコラボすることでより実学的な学びを獲得し、人間力の向上に繋げているのです」(浅川校長)
高大連携で大学の英会話サロンを自由に活用、フランスの高校との短期留学も実施
 私学において付属校の特徴となっているのが、高大教育連携ですが、同校はこれをさらに強化拡充しています。
 従来毎週水曜日に千葉商科大学の教員に出向いてもらい、学部講座を行っていましたが、さらに今年度からは、それを元に総合探求の授業で深掘りしています。今年度のテーマは国連が示すSDGs(持続可能な開発目標)のなかの「持続可能な環境」で、これを大学の学生と付属校生が一緒に取り組み、最終的にポスターセッションやパネルディスカッションという形に持っていきます。
 また大学の施設もより使いやすくなりました。大学で好評のインターナショナルスクエアという、英会話がいつでも気楽に受けられるネイティブ常駐の英会話サロンを利用できるようになっているほか、申請をすれば、大学の図書館を夜9時まで利用できます。
 さらに従来大学で行っていた交換留学の「CUCサマープログラム」にも、付属校生が参加できるようになりました。毎年10数ヵ国数十名の留学生が訪れているプログラムですが、今回からは高校まで来てもらい、生徒が英語で校内を案内することなども行う予定です。英語を母国語でない留学生との交流で、英語が多様化していることや、異文化を意識してもらうことで、グローバル力を育むことが狙いです。
「留学では2年次にアメリカのポートランドで2週間のホームステイを行っていますが、ほかに特徴的な取り組みとして、フランスのパリ郊外にあるイオネスコ高校との短期交換留学制度があります。フランスの高校ですが、コミュニケーションは英語です。ここでも母国語でない人たちのコミュニケーションを取ることで真のグローバル力を培っていきます」(浅川校長)

TOPICS
建て替え中、プレハブ仮設はなし。2023年教室の概念にとらわれない最先端の校舎で学ぶ
 同校では2023年の新校舎完成に向けて、整備が進められています。新校舎建設となると期間中の仮校舎が気になるところですが、同校では隣地に敷地を確保、隣地に校舎を建設した後、現在の校舎を解体し、そこにさらに新校舎を建設する予定です。いまそ
の詳細は詰めている段階ですが、ICTを駆使した、従来の教室の概念を外したかなり開放的で、自由度の高い施設になることは確かですし、大学との連携をより深められるはずです。 
ホームページはこちら→https://www.hs.cuc.ac.jp/
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