ここに注目2021年度千葉県高校入試(受験情報)ムーブ編集部

2020/10/06
ここに注目2021年度千葉県高校入試
公立高校
次年度からの入試一本化を前に減少傾向
 千葉県公立高校入試では前期と後期の2回選抜を実施。平均実倍率では前期が1.71倍から1.68倍にダウン、後期も1.46倍から1.41倍に下がった。定員割れ数も870名から927名に増えた分、前年までに続き合格数が減少した。2021年度からは前・後期の2回入試が一本化されるため、2020年度が現行制度最後の入試となった。
 千葉県では募集数を上回る合格数を出すこともあれば、応募者数が定員数を下回っていても不合格を出すこともある。2020年度の後期で実倍率トップになったのは下総(自動車)の3.00倍だったが、募集数13名に対し6名が受験し2名しか合格していない。近隣他都県では定員割れをした場合、全員合格にするのが通例だが、千葉は例外だ。技術色の強い専門学科の場合、一定の学力が求められるのだろう。この傾向は入試が一本化されても継続されることが予想される。

前・後期入試の一本化で実倍率は緩和
 入試機会が2回から1回に減ると、失敗したときに取り返しがつかないのではないか?と不安に思う受験生がいるかもしれない。しかし、募集定員は変わらないので合格者数も変わらない。入試回数が2回あれば1回で合格できる人数は減るので倍率は上昇する。1回めに不合格になる危険性は高い。
 首都圏では埼玉、神奈川が相次いで2回の入試機会を1回に減らしてきた。千葉の入試機会の一本化はそれに続く変化だ。入試機会が1回だけなら合格になっていたのに、前・後期に分けているために不合格を出すのは必要なのか?という考えも一本化される理由のひとつになっている。
 2020年度前期の全受験者数を前期と後期の合格者数の合計で割ると1.16倍になる。前期1.68倍・後期1.41倍と比べて大きく緩和することがわかるだろう。同様に各校の倍率を比較すると2倍を超えるのは県立船橋と市立千葉の理数科だけで東葛飾1.80倍、県立千葉1.78倍が続く。難関校が高倍率になるのは仕方ないが、1倍を切る公立高校が増える可能性も高い。

コロナ配慮の削除は少なめ
 コロナ休校への配慮としては、次年度からスタートする学校設定検査のうち、「思考力を問う問題」を実施しない他、英語と国語で削除する内容はなく、数学と社会、理科についても近隣他都県より削減される単元は少ない。
 千葉の学力検査は埼玉と同様、難しい出題が多い。記述問題の配点が高く、毎年のように正答率が極端に低い出題が見られる。近年は前期より後期の平均点が高かったが、一本化された後の学力検査は前期に近いものになるだろう。記述問題は書く習慣がないと点数を採れない。満点を取るのは難しいが、中間点があるので公立志望なら書く練習は積んでおきたい。
私立学校
県内私立では前期で合格確保を
 県内私立高校は1月中旬から開始する前期選抜でほぼ確定する。2月上旬から始まる後期選抜では入試を行わない私立高校が増え続けていて、公立入試が一本化する2021年度はさらに前期で大勢が決まる状況になるだろう。志望順位に関係なく前期日程で合格を確保することが千葉の受験生には鉄則だ。
 入試の種類や選抜方式は学校によって様々だが、志望順位によって基準が異なるのは他都県の私立と同じだ。他の私立高校との受験が可能なように複数回入試を前期に実施するところも少なくない。
 また、千葉県に近い都内私立高校では県内私立日程に合わせて1月の推薦入試期間中に千葉県在住の生徒には公立との併願可能な入試を行うところもある。

前・後期とも私立応募者は微減 
 2020年度は前年に続き千葉県内私立高校の応募者は前期・後期とも減少した。首都圏全体では私立志向は増え続けているが第一志望が増えた分、私立高校を複数受験するケースが減少し、また都内私立志望が増えていることも影響しているのだろう。
 2020年度私立高校入試で応募者を最も多く集めたのは専修大学松戸で、千葉敬愛、八千代松陰、日本大学習志野が続く。高校募集単独校や複数のコース制や特進・一般クラス等,幅広い学力層に対応した募集をしている高校が受験生を集めている。
 千葉県の公立高校では学区制があり、どこでも受験できるわけではない。一方,私立高校は通学できるなら県内外を問わずどこからでも受験できる。しかし、2021年度のコロナ禍で中心地より周辺部への需要が高まると、混雑した電車が敬遠され、交通の便のよい中心部の高校で応募者を減らすところがあるかもしれない。

2021年度 県内私立高校・主な変更点
聖徳大学附属女子…女子校から共学化、校名を「光英VERITAS」に変更
専修大学松戸…後期入試を廃止、一般入試E類型・A類型に5科入試、A類型に第一志望入試を導入、S類型・A類型の第一志望入試以外の面接廃止
日本大学習志野…後期入試を廃止
文理開成…2020年4月から「鴨川令徳」に校名変更
流通経済大学付属柏…Ⅲ類を特別進学コース、Ⅰ類を総合進学コース、Ⅱ類を共学化し、スポーツ進学コースに変更
<<戻る