「新しい自分・自分が望む自分」を 創る単独男子校(男子校)保善高等学校

2020/10/02
男子校ならではの指導で自我を育てる3年間―「新しい自分・自分が望む自分」を創る単独男子校
保善高校は創立97周年を迎える伝統校で、都内では数少ない高校単独の男子校です。コロナ禍では、3ヶ月間の休校を余儀なくされましたが、「生徒の安全を守る」万全の対策と「生徒の学びを保障する」独自のWeb学習支援システムを構築し、単独校ならではの対応力の高さを実証しました。
保善1年生としてゼロから一斉スタート
 3年後に創立100周年を迎える保善高校は、高校単独の男子進学校というありかたを貫いてきました。全員が高1からスタートを切るところが中高一貫校とのちがいで、出来上がった人間関係の中に入っていくのではなく、みんなでゼロから新しい世界を作っていきます。そして、男子校特有ののびやかに自分を出せる雰囲気の中で、3年間、学びにクラブ活動に、そして自分の興味ある世界を掘り進むことに没頭できます。
 入試広報部長の鈴木先生は、保善の指導の基本は「おおらかに見守ること」だと言います。「入学直後、クラスメイトと打ち解けるのに男子は時間がかかります。本校では教師が関わるのは必要なポイントだけにして、あとは彼ら自身が共通点を見つけたり、自分とは違う個性を認め合ったりして自然に人間関係ができていくのを待ちます。苦労もしながら自力でその過程を辿ることが大切なのです。」
 こうして、GWが明ける頃には生徒同士が笑顔で話す姿が増え、体育祭で一気にクラスの雰囲気が出来上がっていくのが例年の流れです。そこから先は、男子同士の自由闊達な空気の中で、ハイレベルなクラブ活動に打ち込む生徒もいれば、文化部で同好の士
を見つけ音楽や美術、その他に勤しむ生徒もあり、それぞれの高校生活を充実させていきます。
3年間で勝負。学力をつけ、進路を切り拓く
 生徒を型にはめず、自発性を大切にして一人ひとりの力を引き出していく保善高校ですが、その一方で、3年間で進路を開拓する力をつけていかなくてはなりません。
「男子はあまり逆算をしません。3年間で勝負し結果を出すには、進路については1年次から積極的に情報を提供して刺激を与え、学ぶ機会をつくっていく必要があります。自主性を尊重する部分と働きかけて行動を促す部分のバランスが重要です」(鈴木先生)
 こうした考え方は指導システムにどう反映されているのでしょうか。まず、毎朝の授業前に20分間、内容を自分で考えて勉強する自学の時間をとっています。さらに5分間、朝読書があります。わずかな時間でも書物に向き合うことで心が静かになり、1時間目の学習姿勢がちがってくるのです。
 月例テストは英数国それぞれの基礎事項に絞って出題し、日ごろの学習が順調にできているかを客観的に把握します。
 夏休みは前期・後期一週間ずつのサマーセミナーを開講、生徒たちの要望に応えるたくさんの講座がずらりと並びます。同じく冬にはウィンターセミナーを実施します。
 大学受験に向けては3つのコース――中堅私大以上の現役での進学をめざす「大学進学クラス」、G-MARCHレベルへの現役進学をめざす「大進選抜クラス」、国公立・私立の難関大や医・歯・薬学部合格をめざす「特別進学クラス」があります。特別進学クラスは受験勉強の負荷が大きいことを考慮し、3年次は国公立と私立・理系と文系の4クラスに細分化して効率よく学習を進めていきます。
「高校入学後に学力が伸びる子、志望が変わる子がいるので、2年への進級時に本人の希望等でクラスを移動することができます。どのクラスも、3年間よく勉強してできるだけ高い学力に到達することが目標です。そのうえで、進路は生徒本人、保護者、担任の教員で協力して、本人にとっての最良の道を模索していきます。」
 特別進学クラスでは独自プログラムの「未来考動塾」も実施。ゼミ方式で探究活動を行いながら、社会に対して問題意識を持ち、自ら問いを立ててそれに対する答えを筋道立てて考え、調査・発表できるようになることをめざします。
生徒の安全を守り抜く保善のコロナ禍対策
 コロナ禍による前例のない困難な状況のなか、保善高校では手探りながらも多種多様な対応を準備し、実行してきました。
「何よりも重視したのは生徒の安全です」と鈴木先生はおっしゃいます。「きっちりと休校に踏み切り、卒業式も卒業生と教員のみ学級単位で実施。修了式、始業式は時差登校で行いましたが、入学式は中止し、新入生には教科書を郵送しました。」
 同校では以前から、出欠席連絡や家庭伝達用にNTTレゾナントが提供するWeb通知システムを「山吹ネット」と呼んで運用していましたが、今回のコロナ禍対応では「いち早く」「正確で」「確実な」連絡手段として大いに役立ったといいます。また、全在校生の家庭を対象に一律20,000円のネット環境整備支援を実施。希望制で約90%の家庭に支援金が支給されました。
「どんなに多くの授業動画を配信しても、それを視聴できる環境がなければ意味がありません。すべての生徒に学習機会を平等に用意するためにも支援金は大きなサポートになると考えました。」
 そのうえで、特別進学クラスでは4月上旬よりインターネットクラウドサービス「ドロップボックス」を利用した双方向型オンライン授業を展開。YouTubeにアップされた授業動画を視聴し、「ドロップボックス」を使って課題の配信・回収・添削といった一連のリモート授業を実施しました。また、大進選抜・大学進学クラスでは、8年前から授業の補習に対応してきた「Webチャレンジ講座」を活用し、5月より週1回1週間分の授業動画を配信。全クラス併せて1,100タイトルの授業動画を配信し、「学びの保障」に全力で取り組みました。
 学校再開に向けては、顔認証付き検温器、赤外線サーモグラフィー、室内換気用サーキュレータ、十分な消毒液、マスクなどを揃え、感染防止対策を徹底。万全な環境を確保しています。
「学校説明会も個別相談会に切り替えたり、施設見学を一組ずつ実施するなど、安心して来校できるようにしています。ぜひ実際に足を運んで、本校の雰囲気を体感してください。」
学習とクラブ活動の両立文武両道を成し遂げる
 生徒のクラブ加入率は75%。伝統を誇るラグビー部をはじめ、サッカー部、バスケットボール部、陸上競技部、空手道部などは全国大会出場をめざす強化指定クラブとなっています。学習とクラブ活動を両立させるのが同校の教育方針。それは運動部・文化部所属生徒の4年制大学現役進学率が85%という高さで、文武両道を成し遂げていることがわかります(卒業生全体の4年制大学現役進学率73%を上回っている)。修学旅行や校外授業で一緒になる他校の生徒と比べると、同校の生徒は集合時間の厳守、あいさつの励行そして服装・頭髪の乱れのなさなどで特筆されるそうです。学校でも基本的なことは言うものの、クラブなどの上級生がしっかりとしているのを見て、それを下級生が自然に学んでいる側面があります。勉強以外の生活基盤の確立をしっかりとさせるのもクラブ活動の効用です。仲間、先輩、後輩との人間関係は一生の宝ものです。クラブ活動はそのような出会いを通して、人間関係の構築力を高める場ともなっています。
ホームページはこちから→https://www.hozen.ed.jp/
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