2021年度 入試の全体像(受験情報)ムーブ編集部

2020/09/19
2021年度入試の全体像
今回は、コロナの影響で混とんとしている2021年度入試について、現段階でわかっていることをお伝えしましょう。
コロナ不況で受験者が減るのではないか、という見方もありますが、直近の模試の受験者が前年同時期の98%もいました。ですので、減らないと見たほうがいいでしょう。
これからまだ多くの変更が出るので、情報には十分注意してください。
首都圏の小学校卒業生は少しずつ減少
首都圏の小学校の卒業生数は2020年度の29万7000名をピークに、2021年度は29万6000名、2022年度は29万4000名、2023年度は29万3000名と、少しずつ減少します。全国的には少子化が深刻になっている地域が少なくありませんが、首都圏は少子化の進行が遅いわけです。中でも東京は2023年度までは逆にこれからも増え続けます。
コロナの影響は?
今ネット上には「中学受験どころじゃない世界になる」「私立から公立に転校者が続出?」などのスレが飛び交っています。で、いくつかの視点からこのテーマを考えてみましょう。
●厳しい層はそもそも中学受験していない
今新聞を読むと、TVのニュースを見ると、雇用止め、倒産、内定取り消し……といった悲惨な記事、情報があふれています。確かにそれは事実なのですが、それがストレートに中学受験に結び付くかというと、少なくともここ2、3年についてはならないのではないかと思います。
まず今真っ先に雇用止めになっている『非正規雇用層』からは中学受験者はこれまでもいませんでした。もちろん飲食業、観光業、運輸業、小売りなど大打撃を受けている個人事業主のご家庭は撤退するかもしれません。が、(失礼な言い方ですが)主たる供給源である企業社会の『管理職・専門職層』『正社員層』からはすぐには減らないとみるのが妥当ではないでしょうか。この時期、大手企業の決算が発表になり極めて厳しい数字が語られてはいますが、この先ボーナスの減少はあるでしょうが、即正社員のリストラ、賃金削減までにはつながらないでしょう。
●「投資したからには回収したい」
また、現6年生・5年生はすでに3年、2年と塾通いに投資してしまっています。ここで止めたらこれまで少なからずかけた分が水泡に帰します。これからどうするか迷っている小学校中学年、低学年の家庭はともかく、すでに受験態勢に入っているご家庭はそう簡単には撤退できないでしょう。
公私の差が顕在化
休校期間が長期化して顕在化したのが公私における教育環境の差です。オンライン授業や生徒への対応における公私の差があまりにも大きいことがこの期間にハッキリとでました。それはストレートに学力格差に結び付いているので、改めて私立を見直したという保護者もでています。この点は逆に私立に追い風になっていると言えるでしょう。

学校の動向――
私立中学校
【中学の開校】
●広尾学園小石川(旧村田女子の再開)
・募集人員:男女120名(本科40名、インターナショナルSG40名、インターナショナルAG10名)
・入試日程:午前入試は2月1日のみ 4科、午後入試は2月1日、2日、3日、4日 2科、このほかインターナショナルAGの入試が2月4日午後にあり
【中学の共学化】
●芝浦工業大学附属(高校はすでに共学化)
 入試も大きく変える。第1回2月1日・第2回2日・第3回4日の入試は国語・算数・理科で、うち第1回・第2回の国語・算数に聴解問題を出す。2日午後の特色入試は英語+算数か言語技術+算数かの選択
●光英VERITAS(旧聖徳大学附属女子が共学化に伴い校名変更)
【中学の募集停止】
●聖徳大学附属取手聖徳女子(茨城)
●松蔭(東京)
【中学のコースの新設】
●江戸川女子 国際コースを新設
●昭和女子大学附属昭和 スーパーサイエンスコースを新設
●開智中高一貫部 一貫クラス募集停止、全面先端クラス化。先端クラスに新コース制実施、①先端IT(いわゆるITではなくintelligence tip)…東大、京大、一橋大、東工大、早稲田、慶應等の目標大学が決まっている生徒、②先端GB(グローバル系への進路希望)、③先端MD(医歯薬系への進路希望)、④先端FD(目標未定の生徒)の4コースに。
【中学入試の変更】
▶1科入試の新規導入
●江戸川女子 2月2日に英語特化型入試を新設
●清泉女学院 2月2日午後に算数(STEMM)入試を新設
●桜美林 2月3日午後に算数1科入試を新設
●啓明学園 2月1日午後に英語1科入試を新設
●駒込 2月2日午後に「3カ年特待算数1科入試」を新設
●東京電機大学 2月1日午後を算数か国語の1教科へ変更
●昭和学院 1月20日午後を2科から算数1科に変更(オンライン入試)
▶午後入試の新規導入
●獨協 2月1日午後に2科で参入
●神奈川大学附属 2月1日午後に2科で参入。このほかも大きく変える。これまで、A(2月2日午前)、B(2月3日午前)、C(2月5日午前)だったが、A・B・Cという呼称を止め、第1回(2月1日午後)、第2回(2月2日午前)、第3回(2月4日午前)に
●桐蔭学園 2月2日午後に2科で参入
▶その他
●吉祥女子 入試を2月1日と2日の2回に
●実践女子学園 2月1日、2月2日に思考表現入試を新設。筆記試験+質疑応答
●中村 2月2日午後に国算エクスプレス入試を新設。国語・算数の口述試験で、オンライン受験のみ(学校でのオンライン受験可)
●東京農業大学第一 第1回(2月1日午後)の試験科目を、従来の4教科もしくは2教科から算数・国語もしくは算数・理科の選択に
●文化学園大学杉並 2月6日に自己表現入試を新設。算数+プレゼンまたは国語
●青山学院横浜英和 募集定員を160名から120名に削減
●日本大学藤沢 募集定員を120名から60名に削減
●江戸川学園取手 2021年度から1回で適性検査型実施。2022年度から5教科入試にする予定

公立中高一貫校
【中学の開校】
●川口市立高等学校附属・募集人員:男女80名 ・入試日程:第1次選考が2021年1月16日、第2次選考が1月23日
●茨城県立土浦第一高等学校附属・募集人員 男女80名 
茨城ではこのほか水戸第一高等学校附属、勝田中等教育学校が開校予定。
【その他】
●お茶の水女子大学附属 国算社理→「検査Ⅰ(国語的出題、情報活用力を重視した出題等)」「検査Ⅱ(算数的出題、数理的思考力を重視した出題等)」「検査Ⅲ(社会科学・自然科学の出題、思考・表現・活用を測る出題等)」に
●筑波大学附属 国算社理音図家庭体育実技→国算社理に
●神奈川県立相模原中等、平塚中等 選抜のグループ活動をとりやめる(新型コロナ感染防止対策)
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