人とのつながりを大切に 肌で感じる「体験」を重ねて 10年後に活かせる力を培う(共学校)国士館中学校

2020/09/13
人とのつながりを大切に
肌で感じる「体験」を重ねて
10年後に活かせる力を培う
中高時代は心と体が大きく成長するとともに、将来に向けて知識や教養を身につけ、
それぞれの個性や感性に磨きをかける大切な時期です。
人生の礎ともなるこの期間に、必要なのはどんな教育でしょうか?
国士舘中学校では何よりも「人と触れ合い、肌で感じる体験」を重視して指導を行っています。
国士舘創設者・柴田徳次郎による建学の精神「読書・体験・反省」を実践し、
失敗を自らの経験に変えて前に進む日々を重ねて、10年後、社会に出たときにこそ求められる力を育みます。
「ほんものの体験」が未来を生き抜く力になる
 AI化やグローバル化が加速するとともに、人種差別や経済対立などの問題も噴出する社会において、コミュニケーション力の必要性がますます高まっています。
「こういう時代だからこそ、本校では人工知能やバーチャルな世界ではない『ほんものの体験』を通して、人とつながり、未来を生き抜く力を身につけてほしいと考えています」とおっしゃるのは、今回お話を伺った国士舘中学校教頭の神山優子先生です。
「教室には電子黒板やパソコンも完備し、様々な授業でICT機器も活用していますが、あくまでも中心は、教師と生徒あるいは生徒同士が実際に対面し、言葉を交わすアナログな教育です。さらに部活動や文化祭、体育祭などの行事では他学年の生徒とも一緒に汗を流し、宿泊研修では地域の方と触れ合う機会もたくさん用意しています。」
 特に昨年は学校の地元で行われている幕末維新祭りに中学生全員が参加し、大きな成果があったのだとか。
「幕末維新祭りは毎年10月下旬に開催されている松陰神社通り商店街主催のお祭りです。例年、奇兵隊の扮装で練り歩くパレードには、体の大きい中3の男子生徒中心に参加させていただいていましたが、昨年は主催者側からの提案で、パレードのほか、生徒学芸員として松陰神社のご案内をする係とスタンプラリーのサポートをする係を、生徒全員が分担して担当することになったんです。まったくシナリオのない仕事でちゃんとできるか心配もしましたが、生徒たちは地元の大人に交じって、こちらが驚くほど、よ
くがんばってくれました。その場その場で臨機応変に対応する経験を通して、自信もついたのではないでしょうか。参加されたお客さまも主催者のみなさんにとても喜んでいただき、来年からも同じように参加してほしいと言ってくださって本当にうれしく思いました。」
 残念ながら今年は新型コロナウィルスの影響で中止になってしまいましたが、地元とのつながりが深まったことで、今後も生徒の経験の幅は大きく広がっていくことでしょう。
失敗をプラスに変えて、さらに高く跳ぶ
 国士舘中の生徒が「ほんものの体験」をする機会として特筆したいのが、毎年行われている宿泊行事です。「自分の五感をフル回転させる体験を積むことができるように、アウトドアでの活動を数多く用意しています」と神山先生は話します。
 中1のオリエンテーションでは大自然の中をチームごとにクイズを解きながら歩いたり、雪の残る山を登ったりします。中3の移動教室は、伊豆の下田で開国の歴史を学びながら、漁船体験やシーカヤック、シュノーケリング、アジの開きづくりなどに挑戦します。5~6人のグループごとに民宿に泊まって、お手伝いをしたり、おいしい漁師町のご飯をいただくなど、ここでも人との触れ合いを大切にするのが国士舘中らしいところです。
「様々な体験をする中で、たくさん失敗もしてほしいですね。中学生ならいくら失敗しても、それを乗り越えて成長できるし、その経験が将来につながる糧となります。私たちは、失敗をプラスに変えて、さらに高く跳ぶためのサポートをしたいと思っています。」

国士舘ならではのグローバルプログラムを展開
 グローバル教育についても国士舘ならではの指導が展開されています。英語科の授業は週7~10時間。特にコミュニケーション力を重視し、ツールとして使える英語を身につけます。また中大連携教育として、国士舘大学21世紀アジア学部から留学生を招き、放課後、「英語村」を開催。中国、ロシア、イランなど多様な異文化に触れる機会を設けています。
 中2では福島県にある英国式宿泊施設ブリティッシュヒルズで語学研修を行います。(今年度は実施を検討中)
「うちの生徒は好奇心旺盛で、ブリティッシュヒルズでも積極的に行動し、英語でどんどんコミュニケーションをとるので、ネイティブの先生方にも褒められています(笑)。」
 さらに中3以降は希望者対象の海外語学研修も実施。成長の舞台は世界に広がります。
文武両道を達成する「放課後学習」
 国士舘中では、授業後、全生徒が午後4時まで教室で「放課後学習」に取り組みます。生徒は宿題をはじめ、予習・復習、朝テストの勉強など各自の状況に応じて自習し、担任や教科担任のほか、国士舘大学で教員を目指す学生が教室を回って学習をサポートすることもあります。これにより部活動と勉強の両立が可能になり、文武両道が達成できるようになりました。
「部活動は『放課後始まるもう一つの学校』です。授業でも行事でもなく、部活動だからこそ学べることがたくさんあります。そして部活動に行く前に全員同じ条件で放課後学習に取り組むことで、その後の部活動に思いっきり打ち込むことができます。放課後学習を始めてから、生徒の学力は確実にアップし、時間管理もできるようになりました。」

武道と礼法で思いやりの心を育む
 国士舘では、道徳心や正義感、思いやりの心を備えた人材を育成することを目標に武道と礼法を学ぶ「心学」と、社会の一員として活躍できる人材を育成するために「読書・体験・反省」を基として教養と実践を積み重ねる「活学」を二本柱に教育を展開しています。
 特に「心学」の中心である武道と礼法の精神は、国士舘の教育の基本です。礼法は中1のオリエンテーションで正しい礼をするところから始まります。武道は全国レベルの部活動だけでなく、全生徒が中1で柔道と剣道を、中2以降はどちらかを選択して学びます。また、書道は専用の和室で正座の姿勢も含めて学びます。
「本校の教育はすべて、国士舘の創立の理念である『世のため、人のために役立つ人材の育成』につながっています。礼法で正しい所作を身につけることは、将来、社会に出たときに必ず役立ちます。武道も、ただ勝つためや技を磨くためのものではなく、礼節を身につけ、相手を思いやる心を培うことを目標としています。こうした日本の伝統的な文化を学ぶことは、国際社会でのコミュニケーションにも大きな意味を持つはずです。」
 国士舘中が見据えているのは3年後でも6年後でもありません。10年後、生徒が社会に出たとき活かせる力を、土台からしっかりと築き上げます。
コロナ禍による緊急事態でも国士舘ファミリーの協力体制で学びを止めず、前に進む
 前例のない対応を迫られた、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための休校。しかし学校法人・国士舘は直ちに対策に取りかかりました。オンライン授業を行うための準備金として、大学・高等学校・中学校の全学生・生徒に向けて一律8万円(総額11億2000万円)を給付したのです。また大学が8月10日までオンライン授業のみで対応することを決めたため、その間、大学校舎を中高で活用できることになり、高校生が大学の大教室を、中学生が中高の校舎を使うことで、授業の機会を最大限確保することができました。
 国士舘中では4月初めに新学年用の教科書を発送し、その後も個別に担任の先生が電話でコンタクトを取るとともに、週1回、各教科の課題を郵送。各家庭で必要なICT環境を整えてもらったうえで、4月下旬にはリクルート社のスタディサプリを導入、5月からはZoomによるホームルームを実施するとともに、Google Classroomによる課題・アンケートの相互配信も導入し、6月に時差登校、短縮授業で週5日の登校がスタートしました。
「国士舘ファミリーの協力体制で、学びを止めることなく、前に進むことができました。ICT環境が整い、今後また状況が変わってもスムーズに対応できると思います。ただ本校では休校期間中、プリントの郵送も続けていました。課題をやり終えたら学校に郵送するのも生徒には新鮮な経験になったようです。個別に手書きでやり取りすることで、先生が自分を見てくれていることも実感できたのではないでしょうか。ICTによる新しい取り組みも活用していきますが、人とのつながりを大切にする本校の教育の根っこは変わりません。」
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