2022年度入試から 2023年度入試を予測する④~埼玉県(受験情報)ムーヴ編集部

2022/10/29
2022年度入試から 2023年度入試を予測する④~埼玉県
公立高校

平均応募倍率は1.09倍から1.10倍へ
 2022年度は中3人口の増加もあって、埼玉県公立高校の応募者数は増加した。募集定員3万6,721名に対し、960名増の4万265名が応募。平均応募倍率は1.09倍から1.10倍に微増した。
 受験者数は731名増え3万9,887名で合格者数は440名増の3万5,120名となった。平均実倍率は1.17倍→1.14倍→1.13倍→1.14倍と微増し、2年前の数値に戻った。
 応募倍率より実倍率のほうが高いのは定員割れによる合格数の減少によるところが大きい。欠員募集数は915名→780名→1,458名→1,682名と2年連続で増加し4ケタが続いている。人気の二極化傾向が加速している。

応募倍率トップは大宮(理数)
 応募倍率で2倍を超えたのは3校あった。大宮(理数)が最も高く2.45倍、所沢北(理数)2.43倍、市立浦和2.13倍、川口市立(理数)1.88倍、川口市立1.83倍と続く。理数科や外国語科は1クラスしか募集しないため、応募者の増減が倍率に影響し易いものの毎年人気が高い。
 応募者数最多校は募集数も多い伊奈学園総合が852名でトップ。558名の浦和西、528名の浦和第一女子、519名の県立川越、513名の川口市立と続く。順位の上下動はあっても毎年上位に名を連ねる学校の固定化傾向が見られる。

出題範囲が広がり、平均点は下降傾向
 2021年度の出題範囲削減がなくなった上、2022年度は学習指導要領の改訂により新たな単元も加わった。出題の難化もあって、昨年上昇した平均点は下降傾向となった。埼玉では応用的な出題を含む学校選択問題と標準的な問題の2種類が2017年度から英語・数学の学力検査で実施されている。
 2022年度までの学校選択問題の平均点では、数学が43.2点→43.7点→53.5点→55.2点→56.0点→42.6点と4年ぶりに40点台前半に下降した。英語は71.9点→58.9点→64.3点→58.9点→61.6点→58.3点と隔年現象が続いているが、ほぼ60点前後で推移している。
 一般的な学力検査では数学が44.4点→44.0点→42.3点→67.9点→62.2点→48.0点と3年ぶりに40点台にダウンした。英語は52.0点→55.9点→47.7点→52.2点→51.4点→52.6点と上がってはいるが、ほぼ同じだ。
 2022年度から市立大宮北が加わり、学校選択問題実施校数は21校から22校に増えた。2023年度も継続される。
○学校選択問題実施校 22校○
浦和・浦和一女・浦和西・大宮・春日部・川口北・川越・川越女子・川越南・熊谷・熊谷女子・熊谷西・越ヶ谷・越谷北・所沢・所沢北・不動岡・和光国際・蕨・さいたま市立浦和・川口市立・さいたま市立大宮北
  
 他の3教科についても見ておこう。
 社会の平均点は60.6点→55.9点→60.3点→55.4点→62.6点→52.9点と上下動が激しく、ここ5年で最も低かった。
 理科は48.5点→51.7点→44.5点→51.1点→56.2点→52.5点と少し下げ、2年前とほぼ同じだった。
 国語は53.3点→52.8点→58.3点→57.2点→68.7点→62.9点と昨年の急上昇から下げたものの、5科中唯一、60点台だった。

元に戻った難しさ、範囲の広がりに注意
 2021年度から新学習指導要領になり、移行措置によって習う単元は増えているため、出題範囲は広がっている。主に数学と英語では高校で習う単元が中学で習う内容に含まれることになったからだ。具体的には英語の単語数が増え、現在完了進行形や仮定法、原形不定詞などといった文法、数学では分累積度数、反例、四分位範囲、箱ひげ図などが追加されている。その対策は他の単元と同様、教科書を中心に理解を深めて問題演習を重ねることで対応できるはずだ。

私立高校

県内私立では1月中に合格確保を
 県内私立高校は1月22日から入試がスタートする。志望順位に関係なく入試が一斉に行われ、学力検査も実施。多くの私立高校では1月中に合否が確定する。県内私立を受験するなら志望順位に関係なく1月中の合格確保が鉄則だ。

県内私立応募者は増加、単願は微増
 埼玉県では就学支援金の充実から私立高校単願応募者数が増加し続けていた。2022年度は人口が増加した割には単願の応募は微増に止まった。一般併願の応募者数はこれまでの減少傾向から転じて1,000名以上増加した。
 大規模募集校が多いのも埼玉私立の特徴だが、今年最も応募者を集めたのは浦和学院で、3,199名から3,449名に増やした。2位には3,165名から3,365名に増やした浦和実業学園、2,756名から3,200名に増加した早稲田大学本庄が、昨年に続き上位3校を占めた。以下、花咲徳栄2,539名、埼玉栄2,443名、栄東2,377名と佐藤栄学園グループが並んだ。

公開模試、検定試験を上手に活用
 埼玉県内私立高校の大きな特徴として、公開模擬試験や地域単位で行われている公的テストの結果が影響する点がある。埼玉では以前から調査書より模試などの実力テスト結果が学力を客観的に判断できる、という考えが強い。
 2022年度は公開模試の偏差値基準を1回から2回の平均値に戻した私立高校が多かったが、1回で可とするところもあった。また、基準となる模試の種類を増やしたり内申点も基準としたりするケースは減少し、特定の模擬試験のみを基準に使用する従来通りの対応に戻す傾向が強まった。
 2023年度は前年と同じように公開模試上位2回平均を基準にする私立高校が多いと思われる。定員を大きく超過して入学生を集めた高校では加点制度を調整したり基準を上げたりするので注意が必要だ。加点制度では検定試験の取得級が広く使用されているので活用したい。
 多くの県内私立高校では複数回説明会を実施、個別相談も受け付ける。受験しようと思う私立高校には何度も足を運び、個別相談を受けることが大事だ。完全予約制で人数制限があるため、申し込みたくてもすぐに締め切られてままならない、という声も聞くが、あきらめずに申し込み続けるべきだ。どうしても参加申込ができない場合には私立高校や中学、塾の先生にも相談してみることだ。
 これは埼玉に近い都内私立でも有効な場合があるので、合わせて利用したい。
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