2022年度入試から 2023年度入試を予測する②~千葉県(受験情報)ムーヴ編集部

2022/10/16
2022年度入試から2023年度入試を予測する②~千葉県
公立高校
入試制度変更2年目で応募者増
 千葉県公立高校入試では前期と後期の2回選抜を一本化する等の制度変更を実施して2年目を迎えた。初年度の平均応募倍率1.08倍から1.11倍に上昇した。制度変更への不安から強まった敬遠傾向が2年目は緩和したものの、平均ではあまり高くない応募倍率が続いている。
 募集定員3万1,320名に対し、3万4,637名が志望、3万4,438名が受験したが、昨年と同様、定員割れ校・欠員が増えたため、合格数は2万9,010名だった。昨年の合格数も募集数より2,000名近く少なかったが、今年は2,300名を超えている。平均実倍率も1.15倍から1.19倍に上昇、応募倍率を上回った。年々、増えていた二次募集数も927名から1,937名に急増した昨年より更に増え、2,312名となった。人気の二極化に加え、公立志望から併願で合格していた私立進学に転じたケースもあったのだろう。

新制度3年目の2023年度は平均応募倍率は変わらない?
 平均応募倍率は隔年現象で上下することが多い。3年目となる2023年度は前年の倍率上昇を見て減少する年にあたる。しかし、2022年度の1.11倍は昨年を上回っているとはいえ、それほど高い倍率には見えない。警戒して敬遠するとは考えにくく、そう大きくは変わらないのではないか。
 もちろん、人気校や倍率上昇校の応募者が減ることは十分あり得る。特に近年は人気校により多く集まる傾向が見られるため、志望校の前年までの実倍率や公開模擬試験の志望者動向を参考にしたい。

応募倍率上位3校は公立トップ3
 2022年度の応募倍率が最も高かったのは東葛飾の1.86倍だった。2年連続の首位で昨年の1.82倍を上回った。2位には1.76倍から1.83倍に上げた県立船橋が続いた。昨年の1.50倍から1.69倍に上昇し、順位も7位からアップした県立千葉が3位となった。県立トップ3が応募倍率上位3校を占めた。
 県立千葉は学校指定検査で「思考力を問う問題」を導入したが、敬遠されることなく応募者を増やしている。思考力は新しい学力観でも重要視され、大学入試制度改革でも取り上げられている。2023年度は東葛飾と千葉東でも導入される予定だ。

学力検査の平均点は下降
 入試機会が一本化されてから2年目の5科の平均点は合計で266.7点で1年目の286.2点を20点下回った。2020年度前期の261.6点に近い。最も低かったのは国語の47.7点で5点ほど下がっている。公立の場合、近隣他都県では国語の平均点は高い場合が多いので50点を下回るのは珍しい。数学が59.3点から51.5点と大きく下がっていて、英語61.7点→58.7点、理科54.6点→52.7点、社会57.7点→56.3点と全科目で前年を下回ったがその差は小さかった。
 千葉公立の学力検査は、難しい出題が多く、記述問題の配点が高い。記述問題は書く習慣がないと得点できない。満点を取るのは難しいが、中間点があるので公立志望なら記述力を高めることを心掛けたい。
私立高校

応募者はさらに約1,500名も増加
 公立の選抜制度が変わった2年目は公立応募者が増えたが、私立の応募者もその反動で減ることなく、約1,500名も増加した。昨年、約1,700名増加し約5万4,500名となったが、今年は約5万6,000名を超えた。人口増の影響もあるが、「コロナ禍で不安な受験生生活を早く終わらせたい」という心理がはたらき、日程の早い私立に合格して進路を確定させたいと考えたご家庭もあったことだろう。
 応募者を最も多く集めたのは今年も専修大学松戸で、2 , 8 2 3 名から3,238名に増やし、県内私立で唯一3,000名を超えた。八千代松陰、千葉英和、芝浦工業大学柏、木更津総合、千葉敬愛、秀明八千代、日本大学習志野が続く。県内最難関校の渋谷教育学園幕張をはじめ市川、昭和学院秀英も応募者数を増やしたが、その規模は大きくない。昨年のコロナ禍による安全志向から少しチャレンジ志向は上向いたようだ。

県内私立では前期で合格確保を
 県内私立高校は1月中旬から開始する前期選抜でほぼ確定する。公立高校の入試制度変更に伴い、2021年度以降、後期選抜の日程が2月5日以降から2月1 5日以降に先送りされた。その分、前期日程期間が長くなった。ここ数年、後期選抜では募集を廃止したり募集数を削減したりする動きが多かった。応募者数も減少し続けていて二次募集に近い状況だ。後期募集を廃止する高校も増えていて、2022年度は昭和学院、暁星国際、東京学館が後期募集を廃止、昨年は専修大学松戸、日本大学習志野、千葉日本大学第一などが後期募集を実施しなかった。志望順位に関係なく前期日程で合格を確保することが千葉の受験生には鉄則だ。
 また、千葉県に近い都内私立高校では県内私立日程に合わせて1月の推薦入試期間中に千葉県在住の生徒には公立との併願可能な入試を行うところもある。

※2023年度 県内私立高校・主な変更点
西武台千葉 アスリートコース単独募集停止、進学コースのスポーツ推薦に変更
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