単独男子校ならではの力で理想の未来をつかむ(男子校)保善高等学校

2022/09/26
「何をしに大学に行くのか?」を問い3年間で答えを出す
単独男子校ならではの力で理想の未来をつかむ
保善高校は創立99周年を迎える伝統校で、都内では数少ない高校単独の男子校です。
新宿副都心にほど近い大久保という地にありながら、緑豊かな戸山公園に隣接する落ち着いた環境で、生徒は男子校らしいのびのびとした学校生活を送っています。
生徒一人ひとりとしっかり向き合い、3年間で確実に進路を開拓する力を培う同校の取り組みについて、入試広報部長の鈴木裕先生に伺ってきました。
目的意識を重視する指導で4年制大学現役進学率87%を達成
 2022年春、保善高校の卒業生は214名中185名が4年制大学に現役で進学しました。これは卒業生全体の87%にあたります。近年は一般入試で受験する生徒が多かったのですが、ここ数年、大学入試改革に伴い、各種推薦入試や総合型選抜入試などを利用して現役合格を目指す生徒も増え、多様な受験形態に対応する指導体制が定着してきました。
「本校は、全体で96%の生徒が4年制大学進学を希望しています。単独校ということから、3年間で確実に生徒一人ひとりの希望を叶えられるだけの力をつけることが本校の使命だと考えていますが、その結果として、昨年度、9割近い生徒が4年制大学に現役で進学したのはとてもうれしいことです。さらに大学や学部選びの意識も高まり、進学する大学のレベルも上がっています。なにより、過年度生ではありますが、今春の入試で東京大学文科Ⅰ類に合格者が出ました。これは在学生にとっても、大きな励み・目標になったのではないかと思います」。
 同校の進路指導は、「何をしに大学に行くのか?」と問いかけることから始まります。
「入学時、ほとんどの生徒は、漠然と大学に行きたいと考えているだけで、やりたいことがはっきりしている生徒は多くありません。また、やりたいことがあるという生徒でも、本当にそれが自分のやりたいことなのか、自分に合っていることなのか、よく考えていない場合もあります。そこで、まず自分を見つめ直し、大学卒業後、社会に出るときのことまで見据えて、『自分が本当に大学でやりたいことは何なのか?』をじっくり考え、そのうえで、どの大学のどの学部、学科を目指すかを決めていきます」。
 こうしてそれぞれの進路を見極めていく中で、大切にしているのが保護者との連携です。同校は3期制で定期試験が年5回行われていますが、成績が出るたびに保護者が来校し、面談や保護者会が行われています。特に中間テストのあとは、1週間、短縮授業となり、放課後は生徒、教員、保護者による3者面談が行われることになっています。
「3者面談は、授業の時間を削ってでも必要な取り組みだと考えています。直接話し合う中でそれぞれの求めていることが明確になり、一人ひとりの生徒にとってベストな選択は何かが見えてきます。また、学校と家庭で納得して方向性を定められるので、生徒は迷いなく、自分の目標達成に向かうことができます」。
 大学に行くための目的意識を持ち、受験という大きな壁を乗り越えて大きく成長する。――附属校ではないからこそ味わえる達成感や努力したことへの自信が、充実した次のステージにつながります。
保善1年生として全員でゼロから新しい自分をつくる
 来年100周年を迎える保善高校は、高校単独の男子進学校というありかたを貫いてきました。全員が高1からスタートを切るところが中高一貫校とのちがいで、出来上がった人間関係の中に入っていくのではなく、みんなでゼロから新しい世界をつくっていきます。そして男子校特有ののびやかに自分を出せる雰囲気の中で、3年間、学びにクラブ活動に、そして自分の興味ある世界を掘り進むことに没頭できます。
 鈴木先生は、保善の指導の基本は「おおらかに見守ること」だと言います。
「入学直後、クラスメイトと打ち解けるのに男子は時間がかかります。本校では教師が関わるのは必要なポイントだけにして、あとは彼ら自身が共通点を見つけたり、自分とは違う個性を認め合ったりして自然に人間関係ができていくのを待ちます。苦労しながらも自力でその過程をめぐることが大切なのです」。
 GWが明けるころには生徒同士が笑顔で話す姿が増え、体育祭で一気にクラスの雰囲気が出来上がっていくのが例年の流れです。そこから先は、男子同士の自由闊達な空気の中で、ハイレベルなクラブ活動に打ち込む生徒もいれば、文化部で同好の士を見つけ音楽や美術、その他に勤しむ生徒もあり、それぞれの高校生活を充実させていきます。
3年間で勝負学力をつけ、自ら思考する力を磨く
 保善高校は、中堅私大以上への現役進学を目指す「大学進学クラス」、G-MARCHレベル以上への現役進学を目指す「大進選抜クラス」、国公立や難関私大への合格を目指す「特別進学クラス」の3コース体制で指導を展開しています。
「高校入学後に学力が伸びる子、志望が変わる子がいるので、2年への進級時に本人の希望などでクラスを移動することができます。どのクラスも、3年間よく勉強してできるだけ高い学力に到達することが目標です」。
 夏休みは前期・後期1週間ずつのサマーセミナーを開講、生徒の要望に応えるたくさんの講座がずらりと並びます。コロナ禍の影響で中止せざるを得ないこともありましたが、オンラインを活用するなど、工夫しながら開講しました。春休み、冬休みには勉強合宿も実施します。
 また、「アカデミックデー」や「キャリアガイダンス」など、外部から講師を招き、ふだんとは違う刺激を受けながら、自分の生き方について考える機会も設けています。さらに特別進学クラスでは独自プログラムの「未来考動塾」も実施。ゼミ方式で探究活動を行いながら、社会に対して問題意識を持ち、自ら問いを立ててそれに対する答えを筋道立てて考え、調査・発表できるようになることを目指します。
■2022年春合格実績(一部)
東京〔文科Ⅰ類〕・東京外国語〔国際社会〕・筑波〔生命環境学群〕・東京都立〔都市環境〕・鳥取〔農学〕・早稲田〔文学・文化構想・商学・他〕・慶應義塾〔理工〕・東京理科〔理学・理工・先進工〕・立命館〔食マネジメント〕・学習院〔文学・経済・法学・理学〕・明治〔文学・政治経済・経営・商学・農学・他〕・青山学院〔文学・他〕・立教〔経済・他〕・中央〔商学・他〕・法政〔法学・他〕etc.
学習とクラブ活動を両立し文武両道を成し遂げる
 生徒のクラブ加入率は75%。伝統を誇るラグビー部をはじめ、サッカー部、バスケットボール部、陸上競技部、空手道部などは全国大会出場を目指す強化指定クラブとなっています。学習とクラブ活動を両立させるのが同校の教育方針。運動部・文化部所属生徒の4年制大学現役進学率は90%という高さで、卒業生全体の4年制大学現役進学率約87%となり、文武両道を成し遂げていることがわかります。修学旅行や校外授業で一緒になる他校の生徒とくらべると、同校の生徒は集合時間の厳守、あいさつの励行、そして服装・頭髪の乱れのなさなどで特筆されるそうです。学校でも基本的なことは指導するものの、クラブなどの上級生がしっかり行動しているのを見て、それを下級生が自然に学んでいる側面があります。勉強以外の生活基盤を確立するのもクラブ活動の効用です。仲間、先輩、後輩との人間関係は一生の宝物です。クラブ活動はそのような出会いを通して、人間関係の構築力を高める場ともなっています。
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