三輪田学園から 未来に向かう!(女子校)三輪田学園中学校

2021/11/19
三輪田学園から未来に向かう!
三輪田学園のディプロマ・ポリシーは、誠実で、だれとでもつながることができ、自らの人生を切り拓いて未来へとつないでいく「徳才兼備の女性」を育てること。目まぐるしく変化する予測不能な時代にも、けっして揺るがぬ確かな力を培います。
未来につながる力をしっかりと育む
 社会のグローバル化とAI化が加速をつけて進む中、地球温暖化による気候変動や未知のウイルスの流行など予測不能な問題にも直面し、世界はめまぐるしく変化しています。こうした混沌とした時代を生き抜くために必要となるのは、どんな力でしょうか?
 今年度から三輪田学園の校長に就任された塩見牧雄先生は、「本校ではまず、すべての生徒が『英語力』と『ICTのスキル』を確実に身につけることができるように指導します」とおっしゃいます。
「この二つの力は、今後の社会を生き抜くために絶対に必要なツールだと考えているからです。ただ、ここで重視したいのが、単にツールを身につけるだけでなく、これらを使って、何を語り、何を成し遂げていくのかということです。本校では、各教科の学びはもちろん、学校生活のさまざまな活動を通じて、語るべきことや成し遂げるべきことの中身を培っていきたいと考えています。」
 今年度から本格的にスタートを切った「探究」と「哲学対話」は、まさにその中身を培うための新たなチャレンジです。「探究」は「MIWADA‐HUB」として中学校の総合学習で実施し、来年度からは高校でも取り組みます。大学のゼミのように、複数の専門分野の中から生徒が自ら選んだ講座に所属し、その中で課題を設定、情報収集、整理・分析、発表を行います。一方、「哲学対話」は、生徒が持ち寄った疑問について、みんなで話し合い、思考を深める取り組みです。専門講師のレクチャーを受けたうえで、放課後や長期休暇中の補習として実施したり、各教科の授業の中に取り入れたりしています。
「生徒には、三輪田学園の6年間で、自分の得意なことを見つけて、究めてほしいと願っています。『探究』はそのための一つのきっかけになるはずです。また、『哲学対話』は、仲間と直接向き合い、人の話を聴いて、自分の考えを深めたり、幅を広げることができる貴重なチャンスです。多様なものの見方や考え方があることを知り、自分にできることや将来やりたいことが見えてくる生徒もいるのではないでしょうか。」
 塩見先生は、「本校はUnity in Diversity(多様性の中の一致)のある場所です」とおっしゃいます。
「生徒の中には、自分はほかの人とは違うマイノリティーだと不安に思っている人もいるかもしれませんが、違いがあるからこそ、一人ひとりが輝くということを、本校のさまざまな活動を通して実感してほしいと思います。それと同時に、三輪田学園の生徒だということは全員に一致していることでもあります。校訓である『誠のほかに道なし』を、共通の価値、生きるうえでの基軸とすることでは、生徒はもちろん、教員、卒業生も含めて全員が結ばれているのです。それだけはけっして忘れないでいてほしいですね。」
 三輪田学園のすべての教育活動の根底には、塩見先生のおっしゃる「Unity in Diversity」の精神があります。もちろん、新たなチャレンジである「探究」や「哲学対話」にも、その姿勢は貫かれています。そしてそれこそが、未来につながる力を育む源となっているといえるでしょう。
多彩な講座がそろうMIWADA-HUBで楽しみながら学びを深める
 MIWADA-HUB は今年度から中学校の総合学習に加わった「探究」の授業です。中学2年生を対象に、毎週、土曜日の1、2時間目を通して実施しています。生徒は多彩なラインナップの中から前期・後期で2つの講座を選択し、それぞれのテーマのもとで
探究活動に取り組みます。今年度は英語科でディベート、情報科でプログラミングに挑戦するほか、国語科の「数奇☆モノ!!」、社会科の「歴史周辺散歩ブラみわだ」などタイトルまで凝った講座もそろいました。理事長の吉田珠美先生も、教科横断型の講座「日本の伝統文化を探究する」を開講しています。探究学習の担当で保健体育科の伊藤和樹先生は、「MIWADA-HUB で何よりも重視しているのは、生徒が楽しく取り組める時間にすることです。私の講座はスポーツを起点に幅広く考察することが目標ですが、生徒は本当にさまざまなテーマを設定していました。なかには倫理や歴史に着眼した生徒もいます。グループワークを通して仲間と協力したり、刺激を受ける機会にもなっています。今後は企業とコラボして睡眠や栄養について調査・考察・提言するなど、どんどん可能性を広げていきたいと思っています」と目を輝かせて語りました。
保健体育科の講座「Hotai Inquiry(保体探究)」を選択
中学2年 A.T さん K.K さん
Aさん…保体探究は、審判の誤審について考えたり、オリンピック開催の是非について話し合うなど、スポーツを切り口に多方面から考察を深める講座で、とても興味深かったです。グループで活動し、プレゼンテーションをしたことで、協調性や発表力も身につきました。
Kさん…グループ発表のあとは、個人で探究活動に取り組みました。私は「遺伝子の組み換え」をテーマに調査し、外国の人の論文を翻訳して読んだりもしました。発表に向けて一人で長文の原稿を作成したことは、将来、論文を書く練習にもなったと思います。
Aさん…私は運動部なので、自分自身のスキルアップにつなげたいと思い、個人探究では、「継続して筋トレを行うとどういう効果があるか?」をテーマに取り組みました。
Kさん…探究学習は、みんなとても楽しんでいると思います。自分でテーマを決め、自分でやり方を考えて進めるのは難しいけれど、達成感が大きく、次の興味にもつながりました。
哲学対話の経験を積むことが確かな「生きる力」になる
哲学対話は、お互いに問いかけ合うことで思考を深める活動です。「今日、話したいこと」は参加者が持ち寄ってその場で決め、時間の許す限り、対話を続けます。うまく話して相手を説得する討論やプレゼンテーションとは違い、「何を言ってもいい」「ただ聞いているだけでもいい」「話がまとまらなくてもいい」といったルールがあり、安心して自分の考えを述べる場を保証します。
 一昨年から哲学対話に取り組んでいる国語科の千葉未緒先生は、「疑問を持つ経験を積むことで、クリティカル・シンキング(批判的思考)の習慣が身についています。また、ふだんは引っ込み思案で、哲学対話でも最初は発言しなかった生徒が、回を重ねる
うちに堂々と発言するようになったり、今まで気づかなかった友だちの思いや考え方に刺激を受けて新たな人間関係が生まれるなど、成長の度合いがとても大きい活動だと感じています」と話します。自由会話ではなく、必ず「一人の話を聴く」ということが定められているので、人の話に耳を傾ける姿勢も培われます。さらに、あえて結論を出さないことが、答えの出ない問いに立ち向かうことのできる、確かな「生きる力」にもつながっています。
オープンスクールで小学生対象の「哲学対話」にも先輩として参加
中学2年 S.H さん R.M さん
Sさん…中1の夏休みに行われたオンラインの「哲学対話」で、「多くの人を助けるために1 人を犠牲にしてもよいのか」と考える「トロッコ問題」に取り組み、興味を持ちました。対話を続けるうち、最後には自分の意見が大きく変わっていることもあって驚きます。
Rさん…「哲学対話」では、いろいろな人の考えを聞けるのがとても興味深いです。正解がない問いについて話し合い、結論が出ないからこそ、思考の幅が広がるのを感じます。
Sさん…終わったあとはモヤモヤが残りますが、そこでもう一度考えたり深めたりするのが楽しいです。ふだんニュースを見ても、どんな解決策があるか考えるようになりました。
Rさん私はニュースがすべて本当のことなのか疑問を持つようになりました。今まで、物事についてよく考えて疑問を持ったり、人と深く話し合うようなことはあまりなかったので、こうした機会を得ることができてよかったと思っています。
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