多彩な講座がそろうMIWADA-HUBで楽しみながら学びを深める
MIWADA-HUB は今年度から中学校の総合学習に加わった「探究」の授業です。中学2年生を対象に、毎週、土曜日の1、2時間目を通して実施しています。生徒は多彩なラインナップの中から前期・後期で2つの講座を選択し、それぞれのテーマのもとで
探究活動に取り組みます。今年度は英語科でディベート、情報科でプログラミングに挑戦するほか、国語科の「数奇☆モノ!!」、社会科の「歴史周辺散歩ブラみわだ」などタイトルまで凝った講座もそろいました。理事長の吉田珠美先生も、教科横断型の講座「日本の伝統文化を探究する」を開講しています。探究学習の担当で保健体育科の伊藤和樹先生は、「MIWADA-HUB で何よりも重視しているのは、生徒が楽しく取り組める時間にすることです。私の講座はスポーツを起点に幅広く考察することが目標ですが、生徒は本当にさまざまなテーマを設定していました。なかには倫理や歴史に着眼した生徒もいます。グループワークを通して仲間と協力したり、刺激を受ける機会にもなっています。今後は企業とコラボして睡眠や栄養について調査・考察・提言するなど、どんどん可能性を広げていきたいと思っています」と目を輝かせて語りました。
保健体育科の講座「Hotai Inquiry(保体探究)」を選択
中学2年 A.T さん K.K さん
Aさん…保体探究は、審判の誤審について考えたり、オリンピック開催の是非について話し合うなど、スポーツを切り口に多方面から考察を深める講座で、とても興味深かったです。グループで活動し、プレゼンテーションをしたことで、協調性や発表力も身につきました。
Kさん…グループ発表のあとは、個人で探究活動に取り組みました。私は「遺伝子の組み換え」をテーマに調査し、外国の人の論文を翻訳して読んだりもしました。発表に向けて一人で長文の原稿を作成したことは、将来、論文を書く練習にもなったと思います。
Aさん…私は運動部なので、自分自身のスキルアップにつなげたいと思い、個人探究では、「継続して筋トレを行うとどういう効果があるか?」をテーマに取り組みました。
Kさん…探究学習は、みんなとても楽しんでいると思います。自分でテーマを決め、自分でやり方を考えて進めるのは難しいけれど、達成感が大きく、次の興味にもつながりました。
哲学対話の経験を積むことが確かな「生きる力」になる
哲学対話は、お互いに問いかけ合うことで思考を深める活動です。「今日、話したいこと」は参加者が持ち寄ってその場で決め、時間の許す限り、対話を続けます。うまく話して相手を説得する討論やプレゼンテーションとは違い、「何を言ってもいい」「ただ聞いているだけでもいい」「話がまとまらなくてもいい」といったルールがあり、安心して自分の考えを述べる場を保証します。
一昨年から哲学対話に取り組んでいる国語科の千葉未緒先生は、「疑問を持つ経験を積むことで、クリティカル・シンキング(批判的思考)の習慣が身についています。また、ふだんは引っ込み思案で、哲学対話でも最初は発言しなかった生徒が、回を重ねる
うちに堂々と発言するようになったり、今まで気づかなかった友だちの思いや考え方に刺激を受けて新たな人間関係が生まれるなど、成長の度合いがとても大きい活動だと感じています」と話します。自由会話ではなく、必ず「一人の話を聴く」ということが定められているので、人の話に耳を傾ける姿勢も培われます。さらに、あえて結論を出さないことが、答えの出ない問いに立ち向かうことのできる、確かな「生きる力」にもつながっています。
オープンスクールで小学生対象の「哲学対話」にも先輩として参加
中学2年 S.H さん R.M さん
Sさん…中1の夏休みに行われたオンラインの「哲学対話」で、「多くの人を助けるために1 人を犠牲にしてもよいのか」と考える「トロッコ問題」に取り組み、興味を持ちました。対話を続けるうち、最後には自分の意見が大きく変わっていることもあって驚きます。
Rさん…「哲学対話」では、いろいろな人の考えを聞けるのがとても興味深いです。正解がない問いについて話し合い、結論が出ないからこそ、思考の幅が広がるのを感じます。
Sさん…終わったあとはモヤモヤが残りますが、そこでもう一度考えたり深めたりするのが楽しいです。ふだんニュースを見ても、どんな解決策があるか考えるようになりました。
Rさん…私はニュースがすべて本当のことなのか疑問を持つようになりました。今まで、物事についてよく考えて疑問を持ったり、人と深く話し合うようなことはあまりなかったので、こうした機会を得ることができてよかったと思っています。