2022年度ここに注目高校入試〔埼玉県〕(受験情報)ムーヴ編集部

2021/10/11
2022年度ここに注目高校入試〔埼玉県〕
公立高校
平均応募倍率は1.12倍から1.10倍へ
 2021年度も公立高校の応募者数は減少した。中3人口も減少しているが、就学支援金の充実による私立との学費格差緩和や私立の進学実績への高評価に加え、コロナ禍対策についても公立より私立のほうが一斉休校期間中でもオンライン授業等の充実が評価された。また、県内私立では1月に大勢が決まるのに対し、公立は3月に合否が決まるのも影響したのだろう。コロナ禍の不安の中、受験生活を早く終わらせたいという心理が公立より私立を志向させた点も見逃せない。
 3万6,280名の募集に対し、2,088名減の3万9,305名が応募し、平均応募倍率は1.12倍から1.10倍に緩和した。受験者数は2,157名減の3万9,156名で合格者数は1,586名減の3万4,680名で平均実倍率は1.14倍から1.13倍に下がっている。人気の二極化傾向が続いていて、定員割れによる欠員募集数は780名から1,458名に大きく増えた。

出題範囲を削減、平均点は上昇
 コロナ休校で授業時間の確保が難しいことから公立高校入試の出題範囲が削減された。埼玉では2017年度から応用的な出題を含む学校選択問題と標準的な問題の2種類が英語・数学の学力検査で実施されている。
 2021年度までの学校選択問題の平均点では数学が43.2点→43.7点→53.5点→55.2点→56.0点と上昇し続けているが、ほぼ前年並みだった。英語は71.9点→58.9点→64.3点→58.9点→61.6点と隔年現象が続いている。どちらも上昇しているが、幅は大きくないので問題が安定してきたのだろう。
 一般的な学力検査では数学が44.4点→44.0点→42.3点→67.9点→ 6 2 . 2 点と急上昇から少し下がっている。英語も5 2 . 0 点→ 5 5 . 9 点→47.7点→52.2点→51.4点と下がってはいるが、ほぼ同じだ。
 2022年度の学校選択問題実施校は市立大宮北が加わり、校数は21校から22校に増える。

□学校選択問題実施校 22校
浦和・浦和一女・浦和西・大宮・春日部・川口北・川越・川越女子・川越南・熊谷・熊谷女子・熊谷西・越ヶ谷・越谷北・所沢・所沢北・不動岡・和光国際・蕨・さいたま市立浦和・川口市立・さいたま市立大宮北

国語、社会は平均点が大きく上昇
 他の3教科についても見ておこう。
 社会の平均点は63.7点→60.6点→55.9点→60.3点→55.4点→62.6点と上昇している。
 理科も39.2点→48.5点→51.7点→44.5点→51.1点→56.2点と社会と同様、上昇した。
 国語は57.9点→53.3点→52.8点→58.3点→57.2点→68.7点とこれまで上下動の幅が小さかったのと対照的に10点以上上昇している。全体的には得点し易い出題が増えていたのだろう。

出題範囲は元に戻る上、広がりも
 2021年度は7月現在、一斉休校はないため、出題範囲の削減はなくなる可能性が高い。今年度から新学習指導要領になっているため、実は出題範囲は広がることになる。主に数学と英語では高校で習う単元が中学で習う内容に含まれることになったからだ。具体的には英語の単語数が増え、現在完了進行形や仮定法、原形不定詞などといった文法、数学では分累積度数、反例、四分位範囲、箱ひげ図などが追加される。新しい単元の出題は決して多くないことが予想されるものの全く出題されないとも考えにくい。過去に出題されていない入試問題が一部登場することになるが、その対策は他の単元と同様、教科書を中心に理解を深めて問題演習を重ねることで対応できるはずだ。
私立高校
県内私立は1月中に合格確保を
 県内私立高校は都内私立高校の推薦入試と同じ1月22日から入試がスタートする。都内と違うのは志望順位に関係なく入試が一斉に行われ、学力検査も実施する点だ。また、千葉のように前期と後期に分かれてもいない。
 多くの私立高校では1月中に入試は確定する。県内私立を受験するなら志望順位に関係なく1月中の合格確保が鉄則だ。
 また、公立志望の場合、私立の合格から40日くらい空いてしまうので緊張感を高めていくのが難しい。そのため、2月10日以降の都内私立入試を活用する受験生も少なくない。

公開模試と公的テストの偏差値を上手に活用
 埼玉県内私立高校の大きな特徴として、公開模擬試験や地域単位で行われている公的テストの結果が影響する点がある。埼玉では以前から調査書より模試などの実力テスト結果が学力を客観的に判断できる、という考えが強い。
 2021年度は公開模擬試験が会場で実施できないことが危ぶまれたので、2回の平均値を基準にしていたのが1回で可とした私立高校が多かった。また、特定の模擬試験のみを基準に使用していた高校でも地域毎に行われる実力テストや従来は特定しなかった公開模試でも可とするケースや内申点も基準として使用できるケースも増えた。
 コロナ禍で不安な状況とはいえ、結果としては受験生にとってのハードルが下がった分、選択肢も増えた結果、難度の低い私立では応募者の減少も見られた。
 2022年度は例年と同じように公開模擬試験が実施されているので2回平均に戻すケースが増えると思われるが、2回から1回に変更したり1回を維持したりすることを公表している私立高校もあり、注意が必要だ。
 多くの県内私立高校では複数回説明会を実施、個別相談も受け付ける。受験しようと思う私立高校には何度も足を運び、個別相談を受けることも大事だ。完全予約制で人数制限があるため、申し込みたくてもすぐに締め切られてままならない、という声もよく聞くが、あきらめずに申し込み続けることが大事だろう。どうしても参加申込ができない場合には私立高校や中学、塾の先生にも相談したほうがいいだろう。
 これは埼玉に近い都内私立でも有効な場合があるので、合わせて利用したい。

2022年度 県内私立高校・主な変更点
秋草学園…特選コースSクラスを新設
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