2022年度ここに注目高校入試〔千葉県〕(受験情報)ムーヴ編集部

2021/10/04
2022年度ここに注目高校入試〔千葉県〕
公立高校
入試制度の変更で減少
 2021年度の千葉県公立高校入試では前期と後期の2回選抜を一本化する等の制度変更を実施した。平均応募倍率は1.08倍で前年前期1.68倍、後期1.41倍から大きく緩和した。ここ数年、公立志望者の減少で倍率は下がっていたが、制度変更への不安から敬遠傾向が強まった。
 これまでも大学付属校も含めた進路実績への期待感や就学支援金の充実による公私間学費格差の緩和により、私立志向は増加傾向にあった。2021年度はコロナ禍による一斉休校期間中もオンライン授業等で対応を続けた私立高校への期待感が高まったことも公立離れの要因のひとつだろう。
 募集定員3万920名に対し、3万3,517名が志望、3万3,328名が受験したが、定員割れ校・欠員が増えたため、合格数は2万8,988名だった。募集数より2,000名近く少なく、平均実倍率は1.15倍で応募倍率を上回った。年々、増えていた二次募集数も927人から1,937人に急増した。人気の二極化に加え、入試制度変更への不安から公立を志願していたのに併願で合格した私立進学にシフトしたケースもあったのだろう。

新制度2年めの2022年度は平均倍率上昇か
 2021年度入試で平均応募倍率が下がった公立の結果を見れば「合格しやすい」と考える受験生は多くなるだろう。公立の入試制度が変更された2年めは初年度の敬遠傾向への反動で応募者が増えるものだが、2022年度の千葉県もそうなるのではないか。それでも大幅に平均倍率が上昇するとは考えにくく、警戒し過ぎて志望校の難度を下げ過ぎないようにしたい。模擬試験等から受験生の動向を参考に選びたいものだ。
 減少し続けていた中3人口が増加に転じるので、臨時定員増校が増えそうだ。千葉では学区制があるため、人口増加地域内の高校で一定の人気のある高校が1クラス募集数を増やす可能性が高い。募集数が増えると合格し易くなるように見えるが、人気校の場合、募集数を上回る応募者を集めて実倍率が上昇してしまったケースも過去にはあった。また、人気校の場合、応募者が多少減ってもチャレンジ層が減っているだけで難度はあまり変わらないことが多い。行きたい高校が人気校なら覚悟を決めてしっかり準備を進めたい。
 首都圏では休校による授業時間の減少に対応して学力検査の出題範囲が削減されたが、千葉県は削減範囲が少なかった。学力検査の平均点は5科合計で前年前期より約25点上昇し、受験生にとっては得点し易い出題が増えたのだろう。それでも500点満点で286.2点なので1教科あたり60点には届いていない。
 千葉の学力検査は埼玉と同様、難しい出題が多く、記述問題の配点が高い。記述問題は書く習慣がないと得点できない。満点を取るのは難しいが、中間点があるので公立志望なら何か書くことだけは心掛けたい。
私立高校
公立の制度変更の影響で応募者は増加
 選抜制度が変わった初年度はどうなるかわからない不安感から公立より私立を志願する割合が増えたのだろう。県内私立高校の応募者数は前年より約1,700名増加し約5万4,500名となった。公立から私立へ第一志望を変更した生徒ばかりではなく、公立入試日程が一本化されたことから、公立しか受験しないケースが減ったことも私立応募増につながっている。また、「コロナ禍で不安な受験生生活を早く終わらせたい」という心理がはたらき、日程の早い私立に合格して進路を確定させたいと考えたご家庭もあったことだろう。
 最も注目を集めたのは女子校の聖徳大学附属女子から共学化し、校名を変更した光英VERITAS。前年の倍近い437名の応募者を集めた。応募者を最も多く集めたのは専修大学松戸で、八千代松陰、芝浦工業大学柏、千葉敬愛、日本大学習志野が続く。一方、県内最難関校の渋谷教育学園幕張をはじめ市川、昭和学院秀英はほぼ前年並みの応募数で大幅に増えてはいない。コロナ禍による安全志向がはたらいているのだろう。

県内私立は前期で合格確保を
 県内私立高校は1月中旬から開始する前期選抜でほぼ確定する。2021年度は公立高校の入試制度変更に伴い、後期選抜の日程が2月5日以降から2月1 5日以降に先送りされた。その分、前期日程期間が長くなった。ここ数年、後期選抜では募集を廃止したり募集数を削減したりする動きが多かった。応募者数も減少し続けていて二次募集に近い状況だ。後期募集を廃止する高校も増えていて、2021年度は専修大学松戸、日本大学習志野、千葉日本大学第一などが後期募集を実施しなかった。志望順位に関係なく前期日程で合格を確保することが千葉の受験生には鉄則だ。
 また、千葉県に近い都内私立高校では県内私立日程に合わせて1月の推薦入試期間中に千葉県在住の生徒には公立との併願可能な入試を行うところもある。

2022年度 県内私立高校・主な変更点
市原中央…芸術コースの募集を停止
木更津総合…美術コース(仮称)を設置
千葉敬愛…総合進学・特別進学のコース制を導入
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