国士舘中ならではの 「体験」を通して学び、 10年後に活かせる力を培う(共学校)国士館中学校

2021/09/18
国士舘中ならではの「体験」を通して学び、10年後に活かせる力を培う
国士舘中学校の学校生活には、生徒がともに活動し、お互いに理解し合えるような機会がたくさんあります。
授業も部活動も行事も、すべて「人と触れ合い、肌で感じる体験」を重視して行われ、その中で、一人ひとりが自分の役割を認識し、それぞれの特性を活かし合うこともできるようになっていきます。
そうした確かな人間関係を築くことが、生徒の「学校が楽しい!」という実感につながっているのではないでしょうか。
100年以上の伝統を誇る国士舘の教育の根幹は「世のため、人のために役立つ人材を育てる」こと。
すぐに結果を出すことのみを求めるのではなく、10年後、社会に出たときにこそ必要となる力を育みます。
国士舘中学校教頭の神山優子先生に、お話をうかがってきました。
「ほんものの体験」が確かな成長を促す
 国士舘中学校は、教室に電子黒板やパソコンを完備するとともに、今年度から1人一台のタブレット端末を配布して、情報社会に対応したICT教育は生徒自身の主体性を大切にし、自ら考えて作成し発表につなげていくツールとして活用していきます。あくまでも中心は、教師と生徒あるいは生徒同士が実際に対面し、言葉を交わすアナログな教育です。さらに部活動や文化祭、体育祭などの行事では他学年の生徒とも一緒に汗を流
し共に取り組んでいるため教員と生徒同士のつながりが強くなり人間的に成長に繋がっていきます。
「本校では、学校生活のあらゆる場面で、『ほんものの体験』を通して学ぶことを大切にしています。タブレット端末も、学習の効率化を図るだけでなく、事前の調べ学習をしたり、地域の方とつながるなど、体験の中に様々な形で活かしていきたいと考えています。」
 特に毎年行われる宿泊行事は、五感をフル回転させるアウトドア活動が満載の魅力的なイベントです。中1のオリエンテーションでは大自然の中でチームビルデングを行ったり、雪の残る山を登ったりします。中3の移動教室は、伊豆の下田で学校創設者の思いに縁のある吉田松陰と日本開国の黎明期を学びながら、漁船体験やシーカヤック、シュノーケリング、アジの開きづくりなどに挑戦します。5~6人のグループごとに民宿に泊まって、お手伝いをしたり、おいしい漁師町のご飯をいただくなど、ここでも人との触れ合いを大切にするのが国士舘中らしいところです。
 昨年度はコロナ禍の影響で中止せざるを得ない活動もありましたが、感染対策の配慮と工夫を重ねて、生徒が体験する機会をできる限りつくるようにしてきました。グローバルプログラムとして中2で行われている福島県の英国式宿泊施設ブリティッシュヒルズでの語学研修は、昨年、東京グローバルゲートウエイでの語学研修に切り替えて実施。オリエンテーションは昨年中止になってしまったので、今年は中1、中2の合同で行いました。
「様々な体験をする中では、たくさん失敗もしてほしいですね。中学生ならいくら失敗しても、それを乗り越えて成長できるし、その経験が将来につながる糧となります。私たちは、失敗をプラスに変えて、さらに高く跳ぶためのサポートをしたいと思っています。」
タイアップイベントで防災への意識を高める
 もともと国士舘は、中学、高校、大学と一貫して「防災に取り組む学園づくり」をめざしてきました。中高では、例年、大学の防災・救急救助総合研究所から講師を招いての講演会や、消防庁による救命救急講習などを行っていますが、今年度は世田谷区の地域振興課と東京消防庁とのタイアップにより、さらに大きなイベントとして、「VR(バーチャルリアリティー)車を使った疑似体験」や、「煙中体験訓練」、「応急救護訓練」などを実施しました。どれも大掛かりな訓練になるため、国士舘大学のキャンパスを利用し、中学生全員が6班に分かれて回る形式をとりました。
「VR防災体験車」は東京消防庁で1台のみ所有している貴重なもので、最新技術を活用し、VR映像を見ながら災害を疑似体験できる車両です。ヘッドマウントディスプレイを装着し、360度の立体映像を見ながらの体験で、地震の揺れや家具が倒れてくる衝撃などで座席が動き、思わず声を出してしまう生徒も少なくありませんでした。また、「煙中体験訓練」は、訓練用の煙を発生させたテントの中を通ることで、火事などの際に煙が充満し、まったく前が見えなくなってしまう状況を体験します。このほか、
「地震体験車」に乗ったり、「まちかど防災訓練車」で消火器を使った消火訓練をしたり、世田谷消防署の方の指導のもとで胸部圧迫とAEDを使った「心肺蘇生法訓練」を体験するなど、とても興味深く、充実した防災学習になったということです。
「東日本大震災から10年が経ち、現在の中学生には当時の記憶はほとんどありません。だからこそ、今まさに、こうした体験をすることで、防災の意識を高めていきたいと思っています。体験する前は遊園地のアトラクションに乗るような気分だった生徒も、いざ体験すると、恐ろしさを実感し、自分の身を守るためにはどうしたらいいか真剣に考えるようになりました。今後は、宿泊行事の中でも、行く先のハザードマップを確認したり、現地の方に避難経路や避難方法をうかがうなど、防災学習を組み込んでいくつもりです。中3の移動教室では静岡県下田市に行くので、津波についてもしっかりと学んでおきたいですね。また、中学校では自分の身を守ることを理解し、高校では周りへの配慮を考え、大学では被災地の支援にまでつなげていけるように、学びをステップアップしていくつもりです。」
武道と礼儀作法で思いやりの心を育む
 国士舘では、道徳心や正義感、思いやりの心を備えた人材を育成することを目標に武道と礼儀作法を学ぶ「心学」と、社会の一員として活躍できる人材を育成するために「読書・体験・反省」を基として教養と実践を積み重ねる「活学」を二本柱に教育を展開しています。
 特に「心学」の中心である武道と礼儀作法の精神は、国士舘の教育の基本です。
 礼儀作法は中1のオリエンテーションで正しい礼をするところから始まります。神山先生は、「礼を学ぶことで、思いやりの心を育むことができるんですよ」とおっしゃいます。
「先生から正しい礼の仕方を習ったあと、二人一組で礼をしますが、そのとき互いに息を合わせて、同じタイミングで同じ動きをするようにしなければなりません。つまり相手の気持ちを考えなければ、美しい礼はできないのです。この経験を積むことで、人の気持ちを考え、思いやりをもって行動することができるようになります。」
 全生徒が中1で柔道と剣道を、中2以降はどちらかを選択して学びます。また、書道は畳敷きの和室で正座して習います。
「本校の教育はすべて、国士舘の創立の理念である『世のため、人のために役立つ人材の育成』につながっています。礼法で正しい所作を身につけることは、将来、社会に出たときに必ず役立ちます。武道も、ただ勝つためや技を磨くためのものではなく、礼節を身につけ、相手を思いやる心を培うことを目標としています。こうした日本の伝統的な文化を学ぶことは、国際社会でのコミュニケーションにも大きな意味を持つはずです。」
 国士舘中が見据えているのは3年後でも6年後でもありません。10年後、生徒が社会に出たとき活かせる力を、土台からしっかりと築き上げます。
文武両道を達成する「放課後学習」
 国士舘中では、授業後、全生徒が午後4時まで教室で「放課後学習」に取り組みます。生徒は宿題をはじめ、予習・復習、朝テストの勉強など各自の状況に応じて自習し、担任や教科担任が教室を回って学習をサポートします。これにより部活動と勉強の両立が可能になり、文武両道が達成できるようになりました。
「部活動は『放課後始まるもう一つの学校』です。授業でも行事でもなく、部活動だからこそ学べることがたくさんあります。そして部活動に行く前に全員同じ条件で放課後学習に取り組むことで、その後の部活動に思いっきり打ち込むことができます。放課後学習を始めてから、生徒の学力は確実にアップし、時間管理もできるようになりました。勉強の習慣がついていない中1の間は『やりたくない』と思うこともあるようですが、学年が上がるにつれて、『国士舘では、このくらい勉強することがあたりまえだ』という意識が身につき、高校生になっても苦労することはありません。」
 また、英語検定、漢字検定などにも積極的にチャレンジしています。検定前には、放課後学習も検定準備一色で取り組みます。英検の面接対策は英語科の先生がマンツーマンで行い、中2、中3になると準2級、2級に合格する生徒も出ています。
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