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この1年は、主に親子関係をテーマに、生意気に叫んできた。
ムーヴも本年度最終号。これまでの総復習も兼ね、6年生のご家庭の皆さんに、冬から春を過ごす姿勢について、願いを語っておきたい。
■冷静沈着であれ!
入試前後の親の対応について。私ごときが、コマゴマとしたノウハウを伝授せずとも、賢明なムーヴ読者の皆さんはもうおわかりだと思う。
とにかく、冷静沈着。これに尽きる。あれこれと巧妙な策を巡らせる前に、基本となる姿勢だと思う。直前期に平静を保つのは困難だ!それはごもっとも。でも、少なくとも受験生本人にとっては、どっしりと冷静沈着に映るようあるべきだろう。学力が期待値に届かない、志望校の変更を強いられる、突然の体調悪化・・・などなど、不測の事態が襲われても、親は、アタフタしないこと。問題を先送りせず、タイムリーにベストな対策を講じ、実行すること。お子さんの大ピンチ時も、父ちゃん母ちゃんが、どっしりと構えていれば、とにかく、ホッと安心でき、最悪の事態は回避できる。唯一の頼みである親がバタバタ&オロオロしていては、受験生は不安に震えるだけ。お母さんでも家計の大ピンチ!に、夫が弱々しく逃げていれば、絶望的な気分に陥るだろう。(そうですよね?)
期待がはずれても、お母ちゃんがションボリしないこと。「お願いだから受かってちょうだい・・・」などと、ワラにもすがる姿勢に陥らないこと。何かしてあげなきゃ、という親心が空回りして、あれこれたたみかけて追い込まないこと。この時期になれば、これまでのペースを守り、任せておくくらいの方がよい。また、幸いにも結果が楽観視できる場合でも、調子に乗ってニヤニヤと油断しないこと。
さらに、絶対に(受験生の前で)夫婦や親族で争うべからず。子育てに紛糾すると両親の争いがつきもの。「お父さんが、受験に協力してくれないからでしょうっっ!」などと、それは、たいていは事実かもしれないが・・・(苦笑)、今さら責任論争しても事態は悪化するだけ。今の子は、両親の不仲に弱いのだ。
これからの対応を考える前に。大きく深呼吸してクールダウンしてはいかが?冷静さを失っては、非生産的なバトルを引き起こし、さらに、恐怖の悪化スパイラルに巻き込まれる。脅すようだが、直前期は飛躍的な向上は難しいが、予期せぬ転落は十分にある。ニュートン物理学的に見ても?人は登るのは困難だが、落ちるのはたやすいからだ。そして、人は団地の野良猫のように、クルっと身を翻して、ふてぶてしく着地する技術が欠けている。いわんや12歳の子どもなのだ!
子育ては感情的な作業だと思う。クールダウンといっても、冷めた態度ではなく、あくまで、熱く導いてしてほしい。少々、親ばかママでもいい。不器用オヤジでもいい。私の主張は、「ヒステリックなその場感情を排し、理性的であってほしい」だ。前号の記事でお話ししたが、受験前後のちょっとした親の対応が、その後の子育てにとって悪(あ)しき前例として致命的な傷(記憶)として残る例も多い。肝に銘じておこう。
■中学受験の結果は途中経過に過ぎない
この時期になると、気になるのが受験の結果。あたりまえだが、そこで、受験の合否が最終結論のように考えてしまい、その後の、教育ビジョンがおろそかになる。身に覚えはないだろうか?
繰り返すようだが、中学受験は目的ではなく手段。中学受験は大きな成長体験となる通過点なのだ。たとえ、あこがれの中学校を断念しても、それで、薄暗い日陰の人生を歩むワケではなく、もちろん、天下の名門中学校に合格したからといって、人生日当たり良好!と安心したら大間違い。それは、私が叫ぶまでもなく、40年近く?人生を乗り切ったお父さんお母さんが身にしみてご存じだろう。その先にはメンドウがイッパイの険しい成長期が待っている。人生そのものはこれからの成長過程によって決まる。目の前の中学に受かること以上に、その後、健やかな成長こそが大切なのだ。
そもそも中学受験の結果は、まだ幼い12歳の時期で、さらに、小学校の一般的な学習を超えた特殊な考査による判断であり、すなわち、その子の絶対的な能力の結果ではない。いわんや人間評価であるはずがない。学習を始めた時期、指導した先生、家庭環境、成長タイミング、好奇心の対象、天性の素質など、さまざまな要因が絡む「途中経過」である。「早生まれ」のハンディさえも残る時期といわれているのだ。そして、その多くは本人の意志や判断とは無関係だということ。忘れてはならない。ある程度、自己責任が問われる大学受験期とは異なる。12歳で一生分の品質ラベルをペタっと貼られてはたまらない。
学力の観点でも、難解な算数がスラスラ解けたのに、何故(なにゆえ)か、中学の容易な英語でつまずく生徒もいる。高校進学期に、あきらかに学力が逆転している例なんて日常茶飯事。なによりも、成長期の精神的なトラブルによる失速、ドロップアウトが怖い。
私は、成長過程において、12歳は、ひとつの区切りだと考えている。以後、反抗期、思春期という時期を迎え、つまり親離れ期に突入する。精神的にも身体的にも急激に発達し、幼児の延長から、大人の世界へと、ヨイショっと次元が変わる。ドラマチックな転換期だと思う。お父さんお母さんも、ご自分の12歳時代を思い出してほしい。何を思っていただろうか?
公教育を批判するつもりはないが、中学受験は、切り替えの絶好の節目ではないかと思う。いかがだろうか?成長の通過儀式的に捉(とら)えてもよいと考えている。それくらいの認識によって、中学受験に臨む真の意義を見いだしていただければ幸いだ。それは、積極的な姿勢での学校選びにもつながると思う。「12歳以後のわが子を託すにふさわしい学校はどこか?」と。
とにかく、繰り返すが、何のために受験させるのか?年末年始に、もう一度、心の整理をしておくとよいだろう。
■判断基準は、4月の心身の健康
この時期、志望校の選択、直前の学習。なにかと、判断に悩む場面が多いだろう。
本来は成長過程すべてを見通して、将来立派な大人に成長することを唯一絶対の基準にすべきだとは思うが、それでは、漠然としている。そこで、2008年4月において、心身が健康であるための最良の手段は何か?という基準はいかがだろうか。無理目の第1志望校に果敢に挑戦するのであれば、たとえ、失敗しても心身の健康を保つ方法は何か?それをプラスに転じる方法は?そう考えてほしい。たとえば、志望校を変更するときも、それが積極的で最良の選択肢だ!と、しっかりと意識付けておけば、後によい結果を生む。
実は、どの私立中学校でも、1年生には、「ここは滑り止めなんだぁ」と冷めた姿勢の生徒がいるという。第1志望生のモチベーションが高いので、本来学力が上のはずの「滑り止め意識」の生徒が遅れ始める。その後、学校側の導きでリカバーさせるのだが、実はなかなか難しいそうだ。親側にその元凶があるからだ。
逆に、晴れて名門中学校に合格しても問題は起こる。競争心は必要だ。学校への誇りも大切。合格した結果を精いっぱいほめてあげてもよい。ただし、「ランク下」の学校の生徒を見下げる、名門に入っただけで得意になる、などと、不健全なエリート意識は植え付けないようにしよう。これも親側の言動が反映されやすい。要注意。
少なくとも精神的には健康な状態で、意気揚々と子どもらしい爽(さわ)やかな笑顔で中学校に入学してほしい。(もし公立中学校でもそれが達成できるのならそれでもよいが、一般論的には、受験勉強に励んだ以上、私立に進学するのがスジだろうとは思う。あくまで鶴亀の極私見ではあるが・・・。)
■主体的な受験を
そもそも、中学受験は、親の導きだと思うし、子どもたちも「やらされた感」が強い。
しかし。そろそろ、次は自分で勉強するのよ!という意識付けを始めよう。そんなの、合格してからのハナシ!と思われるかもしれないが、私は、受験の前の時期から種をまく教育に意義を見いだしている。すでに、順調にそのような姿勢が備わっていれば、そう導いたご家庭の力に感服したい。未達成であれば、まずは、主体的な姿勢での受験を演出しよう。それが、12月と1月のテーマだと思う。
すべての受験校は本人が納得し、たとえ併願校であっても志望動機について目を輝かせて語れるだろうか。受験校までの行き、集合時間、持ち物など、受験に臨むノウハウは本人にもしっかりと把握させてほしい。入試のスケジュールを何も見ずにいるようにしてほしい。そうして、自分が学ぶ中学を決めるための受験なのだ!と意識を高められれば理想だ。とにかく失速しないよう推進力を与えること。自らのエンジンで前進すれば、結果、学習面でのラストスパートも期待できる。推進力、すなわち浮力だ。(揚力か?)
(保護は要するが、この時期は、引っ張るのではなく「押す」という例えがふさわしい。険しい登山でも、上から引っ張ってもらうより、下から支えて押してもらう方が希望が持てると思いませんか? )
年末年始にでも、一度、親子でしっかり話をしてほしい。「よくがんばった、ぜひ、志望校に合格できると確信しろ。でも、たとえ失敗しても、その力は、絶対に将来の糧になる」。矯正は必要だが、基本は現状肯定の文脈がベターだ。これまでがんばってきたお子さんに、正しい評価を与えてあげてほしい。少々、ベタではあるが、それくらいの感動的な会話があってもよい年ごろだろう。「結果ではなく、最後までベストを尽くすことが大切なのだ!」これも、コテコテな精神論のように聞こえるが、子どもは、それを素直に受け止める素地(そじ)がある。(大人にとっては、「努力賞」は甘いが・・・。)中学生活について話題にするのもよいと思う。獲(と)らぬタヌキの~などと遠慮は不要。○○中学に入ったらクラブどうする?とか、修学旅行楽しみだねぇ!など。目の前に開ける美しい風景は、遠くにあっても希望を生むからだ。
手法は、家庭の文化にお任せしたい。さらりとしたニュアンスでも伝わると思う。厳しく突き放してもよい。とにかく、自分でやらなきゃ!絶対に受かって中学でもがんばるぞ!という意識が芽生えればよいのだ。ただし、方便としての「おだてる」はよいが、くれぐれも「甘やかせる」姿勢に陥らぬよう。あくまでも成長期の厳しい鍛錬だという意識はお忘れなく。
■実は2月3月が重要なのだ。
わが美しい国では、集団や組織に所属することに重きを置く傾向があるため、入学試験も入社試験も、所属できればハッピーエンドとの意識が濃いと思う。受験が終わったらのびのびと過ごす。それはけっこうなのだが、実は、油断が過ぎると、その後の6年間をダメにする。
志望校に合格すれば、何でも許される、という王子様お姫様的な扱いは、危険がイッパイなのでやめてほしい。適切な評価は必須だし、少々のご褒美は許されるが、それ以上の特別扱いはやめよう。受験直前は無理な指導は避けるのが良策とはいえ、受験後こそ、厳しい指導の好機だ!
中学受験の大半は2月の上旬。つまり入学時まで2ヶ月もある。せっかくの学習習慣を維持しよう。「受かったからといって遊んでばかりいてはダメ!」。厳しいようだが、この姿勢を保つように。4月までに入学する学校の教育にふさわしい知力・体力・精神力を整えておくように。私立学校側もそれを期待している。これからの人生には、中学入試などより、もっと困難が待っているのだ。入試直後は学習習慣があり脳も身体も活性化している。自信や希望で燃えている。まさに心身を高めるグッドタイミング。
(あくまで私見ではあるが)英語や数学の強引で自己流な「先取り」は不要。親子で本屋に行って、中学の参考書でも見てみようか?とか、自然な流れで導くのがよいだろう。受験勉強と同様に、受験時代の教科書を見直すのも効果的。中学受験時代に興味を持った分野を極(きわ)めてみてもよいだろう。受験勉強で得た卓越した?漢字力を活(い)かし、次は漢字検定を目指すのもグッドアイディア。自由研究的な学びや読書も私立中学校の学びに備わるにふさわしい。2ヶ月あればそれができる。
先にお話ししたが、中学受験はこれからの成長過程に突入する節目。12月から4月は、まさに、親子の感動的な成長体験期だ、と思う。
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今年は、主に親子関係についてのウルサイお話をさせていただいた。生意気な発言に不快に感じた方もいらっしゃるかもしれない。だが、私の塾講師時代の経験でも、不幸な子どもたちを見ている。ぜひ、そうなってほしくないと願う気持ちが真(しん)にて、どうかお許しいただきたい。私のタワゴトすべてを、すべて真に受けて、フムフムと納得する必要はないが、ご家庭で何か考えるきっかけにでもなっていれば、至極、幸いである。
最後になりましたが、本年度、お読みいただいた受験生のご家庭に、爽(さわ)やかな春が訪れますよう、心より祈っております。
鶴亀算太郎。
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