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男女かかわらず、小学校高学年から、急激な成長過程が始まります。中学受験は、その重要なステップと同期します。ちょっとした油断や不適切な対応が、受験だけではなく、将来の人格形成にも悪影響をもたらす恐れもあります。男の子の問題発生は、表面的には中学高校時代の思春期がピークかもしれませんが、小学校高学年段階は、その根の原因が形成される時期として、実は最大の危機をはらんだ時期だと思います。
特にお母さんにとってわかりにくい男の子はその危険性が高い。私の塾講師時代の経験から、おはなししたいと思います。
●まず、男の子の危機を招く問題点を整理しておきます。
▲母親の戸惑い
多くのご家庭では、お母さんが子育ての重責を担っていると思います。
お母さんは男の子にとって異性。これが、問題の根源。お母さん自身の兄弟関係などによっても異なるのですが、やはり、女性であるお母さんには成長期の男の子の身体や精神状態にリアリティを持たないからです。女の子であれば、「そういえば、私も小学校のころはこんな感じだった」「これくらいのことは任せておけばいい」と、自分の経験で共感し、適切な対応ができる。危険信号も察知しやすいですね。結果、女の子は、どちらかというと放任傾向となります。しかしながら、男の子は手加減がわからず、過剰な対応に陥りがちなのです。
(つまり、そろそろ、お父さんの出番ということですね!)
▲過剰要求へのストレス
これは今に始まったことではありませんが、男の子には過大な期待を寄せる傾向があります。学校説明会でも中学受験当日でも、女子校と男子校ではお母さんたちの表情が明らかに違います。
幼いといわれる男の子にも、高学年となれば、女の子同様、自我が目覚めているため、自分を客観的に分析する目を持っています。また、お母さんのためにがんばろう、という健気(けなげ)な傾向もあります。そして、「お母さんは期待してくれるけど、自分にはそんな力がない」と思いこむのです。無理したのに要求に応えきれなければ、ストレスが蓄積します。そのストレスは、内にこもったり、爆発したり。今後、思春期を迎える段階で、破壊力を持つ火種となります。
▲母親の過干渉
母親はやっぱり男の子がかわいいのでは?どうしても甘やかしてしまう。そこで、過保護過干渉に陥ります。親ですからある程度の過保護は許容されますが、問題は「過干渉」。なんでも世話を焼く。あれこれと要求する。「やっぱり私がやってあげないとダメだわ」という意識が強い。女の子であれば、「お台所を片付けてね」とか、お手伝いをさせることもありますが、男の子にそのような要求はあまりしないと思います。女の子は自分の身の回りの整理整頓ができる年ごろですが、男の子は、洗濯、炊事、部屋の掃除まで、お母さんが世話を焼くでしょう?「とにかくお勉強が第一」という気持ちもわかりますが、整理整頓能力や自己管理は、中学入試レベルの学習には大きく影響します。
●男の子の自立のために
親が主体となり、子どもに何かを押し付けていることが多いのが過干渉。なんでもやってあげて助けているつもりが、実は子どもから、大切なことを取り上げていることがあります。実は、子どもを思いどおりに動かそうとしていませんか?「やってあげる」ではなくノウハウを教えましょう。お勉強方法ではなく衣食住にかかわる身の回りのことから始めてください。(女の子は、自然に母親が教育しているのですね。)「勉強だけできればいいのよ」という姿勢はNGです。
まずは計画性ですね。おおげさに考えないように。「今日は雨が降りそうだからカサを持って行こう」と判断する習慣が大切なのです。次に整理法。これもノート整理の前に、書棚や洋服ダンスの整理整頓。パンツとシャツを区別して収めるということ。答案の美しさもそこから始まるのです。お母さんがルール設定するのではありません。方法から考えさせてください。カサを忘れてぬれて帰ってこようが、パンツとシャツがグチャグチャになろうが、それ自体はたいした問題ではありません。「やっぱり整理しておいた方が便利だな」とか「次はぬれないようにカサを持って行こう」とか、経験的に問題意識を持ち、対策を考えさせる方が有意義だと思います。
失敗については、どうしてダメだったのかという明確な解釈を持たせることが要です。次がんばればいいよ、と励ますことはとても大切なことですが、それは、終わったことを「忘れる、水に流す」と結果そのものを否定するのではなく、次に「克服、挽回するためにがんばろう!」という反省・対策が必要なのです。そうして、根から癒やされるのです。
トラブルやスランプのときもまずは本人に対処法を考えさせましょう。ただし、「だから、お母さんがいったでしょう!」と、責めるようなニュアンスにならないようにしましょう。自分で困難を克服する姿勢を植えつける。「谷底に落とす」ということではなく、ヒントをあげたり、さりげなく道を作ってあげたりすることが親の役割。「万一のときはお母さんが助けてあげるから、とにかくこれは自分で解決しなさい。」という感じがよいとは思います。
過保護ではなく「保護」とは何か?それは、いざというときに助けることです。また、いざというときには助けられるという印象を与え不安感を与えないことです。「叱られるけど常に味方ではあり理解者なんだよね」と思われる親であってください。
つまり「厳しい親」と「優しい親」は矛盾しないのです。
男の子に限りませんが、「間違ったこと」「ずるいこと」については厳しく矯正すること。いくら受験期であっても「腫れ物にさわる」対応はかえって悲劇を招きます。少々親子喧嘩(げんか)するくらいの方が健全です。むしろ、男の子は、そうやって議論?しながらコミュニケートするくらいがよいのです。小学生高学年の男の子はそれができる最後の段階。本格的な思春期・反抗期に突入すると、絶望的にお母さんの手に負えなくなります。
●男の子に勉強させる法
男の子は課題を先送りする傾向があると思います。そこで、目先の目標設定で釣ってください。来年の入試より明日の小テストを目標に。ただし、次々と煽(あお)ってはいけません。女の子は「受験勉強」として割り切って取り組む傾向が強く、また、反復的な作業にも黙々と取り組む傾向がありますが、男の子は根気がないので、男の子は学習意欲を計算ドリルや漢字練習など反復的・継続的な学習法をだらだら課さない方がよいでしょう。短くタイトにやらせる。まずは得意な教科を極(きわ)めることを優先するのも良策です。男の子は純粋に自分の好きな勉強には熱中することがあるからです。また、女の子は難問をあっさりあきらめるなどクールすぎる傾向ですが、男の子は、算数の難題を何とか自分で解いてやろうというゲーム感覚があるので、それを生かすのもよいですね。
<ヒント>
受験勉強に直接関係ないことでも興味があれば研究させる。「そんなこと覚えなくていいから漢字の練習をしなさい!」はNG。日常会話の中で、学習ネタ(時事や自然現象など)を取り上げる。つまり好奇心をかきたてる環境を整えましょう。お父さんの役割かもしれませんね。
「この問題は難しいけど解けるものなら解いてみろ」などと、おだて?に乗りやすいのも男の子。ときにはゲーム感覚でリズムを作ることも効果的です。
●ご家庭の「男の子像」を明確に
なにより大切なことは、お母さんが、「こんな男性に育ってほしい」とビジョンを持つことだと思います。そうして、それをどうすれば実現できるのか、それは、私が申し上げることではなく、保護者の皆さまで相談して、明確に定めましょう。いにしえの日本と異なり、「男の子はかくあるべし」が社会から与えられないのですね。それを、ご家庭で作るのです。ビジョンがなくても、ビジョンに無理があっても危機を招きます。慎重に考えてください。
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決して、男がダメだ!と悲観しているわけではないのです。男の子にも長所がたくさんあります。それを伸ばせばいいだけですね。そのために、今、何をすべきか、何がタブーか、よくお考えください!今回は、男子校特集。男子校は男の子教育の専門家ですから、たとえ共学志向のご家庭であっても、説明会に参加するだけでも、助けとなることが多いですよ。ぜひお訪ねください。
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■男の子の行動。これは危機?健全?■
▲自分で決断しない。意見を保留する。「心が優しく、素直で従順」と勘違いしがちですが、お母さんご機嫌をうかがう習慣が根にある場合もあります。適切な判断が必要です。
▲テストの結果がふるわないときなど、ドップリと落ち込み、敗北宣言をしてしまう。また、いつまでもクヨクヨする。ビクビクして悪い結果を予測するような発言をする。これは劣等感の元。一種の現実逃避でもある。クヤシイ!と泣いているのとは違うので注意。クヤシイ気持ちは糧となります。
▲なにかと言い訳をする。大人でも同じ?特に男の子は責任回避的傾向に陥りやすいと思います。これは、親や先生に叱(しか)られるのを回避する習慣が元ではないでしょうか。(これはお父さんも同じ?)
▲作業が雑。根気がない。スピードが遅い。ある程度は、その子のキャラクターとして問題はありませんが、親の過干渉による弊害の場合もあります。基本的な生活ノウハウが身についていない恐れがあります。
▲秘密げになる。これは成長期の男の子は健全なプロセス。でも、「テストの結果を隠す」「塾の報告をしない」などは、危険信号でもあります。根本的な家族のコミュニケーション文化が欠落していませんか?「見せなさい!」「話しなさい!」と問い詰めていませんか?
【参考:女の子に負けてしまう男の子】
これは親子関係外をルーツとする問題点です。一般的に女の子の方が身体も精神もはやく大人になります。小6や中1くらいが、差が顕著。小学校でも学習塾でも、男女が同い年に見えないことが多いですね。近年は、その差が開いているような気もします。男の子の過保護化が進み、その反面、女の子は放任傾向にあるため、女の子が、ますますたくましく育っているという説もあります。
中学校でも共学校は、主導権は女の子にあり、クラスの代表者も女の子が担っている学校も多いのですね。そういえば、小学校の高学年時代は女の子と男の子は分裂して争っていませんでしたか?最近は女の子にいじめられて?ベソベソしている男の子もいるそうです。もちろん、女の子をワルモノにするのは誤りですが、客観的な事実としては知っておいた方がよいでしょう。
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(話 ムーブ編集部員M 元学習塾講師 ムーヴ2007年2号掲載記事より)
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※記事には執筆者の極端な主観を多く含み、ご家庭や塾の教育方針に反する内容を含む可能性もありますが、あくまで教育についての積極的なアドバイスという姿勢ですので、記事として掲載しました。
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