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まず、日本語を学べ

まず、日本語を学べ ~小学校高学年は日本語習得の重要な時期~

すくすくと背が伸びる小学校高学年の子どもたち。精神的にも飛躍的な成長期を生きています。 
まだ見ぬ広い世界に思いをはせ、遠い未来を空想します。論理的な思考力も発達します。「真」「善」「美」など抽象概念も深く理解できるようになります。鳥瞰(ちょうかん)図的な視点で世の中を見渡し、客観的な基準で判断します。批判的な眼も持ちます。社会との関わり方を思い描くようになります。他人と比べ、自分の素養や容姿にコンプレックスが芽生え時期です。それまで絶対的存在だったご両親を冷静な目で見つめるようになります。(反抗期前夜ですね。)

●「書きことば」を学ぶ

幼児時代は「生き抜くためのことば」を、覚えていたのですね。不平不満、要望要求。「ママぁ、おなかすいたよ~」「もっと遊びた~い」「いたいよぉ」「いやだぁ」「どうして?」・・・。ちなみに、幼児でも豊かな言語を備えた子どもほど、「うれしい」「たのしい」「きれい」など、ポジティブな表現を多用するのでは?とも考えています。(諸説に調和するかは不明ですが。)
ところが、小学校高学年の段階では、「ママの庇護(ひご)を求めて生きていくためのことば」ではなく、自己主張、自己表現、まわりへの気づかいなど、高度なコミュニケーションに相応(ふさわ)しいことばが要求されるのですね。その決定的な違いはおわかりですか?まさに、そのボーダーを越えようとしているのです。
この時機、日本語の技術を習得しておかないと、将来、「幼稚な作文力」「貧困な表現力」と冷やかされる大人に育ってしまうのです。(私のこと?)

「いつもしゃべっている日本語だから読めばわかるでしょう」と、国語学習がおろそかになっていませんか。
お話ししたとおり、幼児時代に自然に備わったのは、あくまで日常生活でコミュニケートするための最低限のことばです。(この「最低限」が家庭環境によって違うのですが。)「書きことば」は、備わっていません。
日常会話では、論理的、文学的な日本語を使う必要がありません。その場の状況や声の調子などを総合的にとらえてコミュニケートしているからですね。特に日本語は、文法にも発音にも寛大?ですし、「以心伝心」の文化も受け継いでいます。よくこれで通じあっているな?と感じるほど、日常会話は単純。一度、ご家庭内の風景をビデオに撮影して、その会話を文章に書き出してみればわかりますね。
妻「今日は?」→夫「遅いかも」→妻「また~?」→夫「つきあいなんだよ~」→妻「ほんと~?」→夫「しょうがないよ~」→妻「で?」→夫「晩メシいらん」→妻「たまには、タクヤの算数みてよ」→夫「う~ん。」→妻「日曜日模試あるし」→夫「え、次の?」→妻「わかった?」→夫「あ、今日、阪神勝つかな?」→妻「そんなこと、どーでもいいでしょ!」。
この会話のどこに高度な文法が含まれるのでしょうか?(違った意味で高度な言語世界ですが・・・。)

文字を持つ言語は、話しことばと書きことばは大きく異なります。そこで、書きことばのルールを学び、書きことば単語を覚える努力が欠かせません。受験勉強での国語も「書きことばを学んでいるんだ!」と、意識しましょう。書きことばへの取り組みは中学受験算数よりも高い「壁」かもしれない。そう考えています。
放っておくと、単純な日常会話レベルの文章しか書けない大人になってしまいます。


●日本語の基礎をかためる

中学受験をめざす国語学習では、現代国語文法を履修するはずです。めざすレベルによって異なりますが、ほぼ、中学校履修内容を完成するレベルだと思います。
この国語文法を、国語学習の一部の分野と考えないように。ふだん使っている日本語の文法を勉強するなんて無意味、などと主張しないように。

用言活用は純粋な文法知識として習得するという位置づけでもよいかと思います。「サ行変格活用」とか「連体形」とか、学習分野としては面倒ですが、意識しなくても「勉強する時間」といえます。音便形がどうのこうのと理解しなくても、「読んで」と書けます。日本語の活用は発音の都合によるルールが多い?ため、体が覚えているのですね。欧米語の「条件法過去形」などとは、少々違います。また、東京周辺では口語と書きことばに違いが小さいので楽ですね。

ところが、小学校高学年でも備わっていない日本語の文法があります。意外にも、それは、「助詞」や「接続詞」など日本語の構築にかかわるベーシックなことばなのです。

日本語は付属語と呼ばれる「助詞」「助動詞」に大きく依存している言語です。この付属語にスポットライトを当ててみましょう。
助詞とは、いわゆる、「てにをは」。外国人が日本語を学ぶように、一度、助詞を意識して日本語を使ってみましょう。いわゆる「格助詞」(「が」「を」「に」「へ」「と」など)は、幼児体験的に習得していますが、副助詞(「だけ」「ほど」「くらい」「こそ」「さえ」など)は、必ずしも、日常会話で常用しません。正確な理解を目指しましょう。
文章の論理的な構造理解のキーとなる「接続語」(主に「接続詞」。付属語である「接続助詞」も大切)。接続詞は、意外に日常会話には使いません。会話では、その場の状況で文脈がわかるからです。ところが、文章の場合は、筆者と読者の共通認識も希薄ですし、高度な内容を説明する目的を負っていますから、日常会話より接続語を多用して、文脈を立体的に構築しなければなりません。接続詞には「しかし」「なぜなら」など、日常会話ではあまり使用しない書きことばが多いため、小学生にとっては、日本語学習の必須ポイントです。「しかし」「そして」でも辞書で調べるのですよ!
追:「もし~なら」「まったく~ない」など、副詞の呼応なども、一度、正式なルールを整理した方がよいと思います。

文法から学ぶ日本語。中学から大学に至る入学試験の国語力の根源だと考えています。正確な日本語知識は、優れた作文力も導くでしょう。算数の文章題で、算数の力以前に、問題のストーリーがよくわからない、と国語力で負けてしまうことのないように。


●正しい漢字練習

英語でも、中国語でも、アラビア語でも。マスターするために、多くの語彙(ごい)蓄えなければ!文法を極(きわ)めると同時に必要な試練です。

受験勉強の必須要素の一つに、漢字の練習があるはずです。
たいていは、学習塾で与えられた「漢字練習帳」のたぐいで、漢字を覚えているでしょう?ところが、これだけでは不十分だと思います。実は、漢字学習の真の目的は、漢字そのものではなく、語彙(ごい)の増強です。子どもたちは、とにかく「正答すること」を目的として、漢字を丸暗記するようになります。つまり、意味もわからず漢字を覚えているのです。漢字を覚えるというより、漢字練習帳の答えを覚える、でしょうか?
可能な限り、漢和辞典を活用し、表意文字たる個々の漢字の意味を理解する。また、漢字熟語でも和語(訓読み語)でも、意味(というより概念)を理解する。
そのためには、積極的に覚えた漢字を使うことです。夏休みの宿題の作文でも、できるかぎり知っている漢字を使う習慣を持ちましょう。覚えた漢字を使いこなすことによって、ようやく漢字(単語)を自分のものとなるのです。

手間のかかる学習ですが、外国語でも日本の古典でも、本来、言語の習得は地道な努力が必要。直感力、発想力で勝負する分野ではないと思います。


●日本語力は環境が影響する

日本語もしっかり勉強すべきもの。おわかりでしょうか?
とはいえ、子どもにとっては、幼児時代の延長で、周辺環境から言語を学ぶ力が残っていると思います。(大人でもそうですよね)
そこで、周辺の言語環境はこれからも重要です。お父さんお母さんの影響も強いのです。お父さんお母さんは、(必ずしも美しく正しくなくてもよいですから)豊かな日本語を使うよう、心がけましょう。

また、読書習慣を備える子どもは、結果的に国語のテストの得点力も高いケースが多いです。だからといって、無理やり読書させても、成果は期待できません。読書習慣はご両親や兄姉から受け継ぐもの。まずは、お父さんお母さんが読むことから始めてください。
必ずしも名作文学でなくとも、図表の多い図鑑、百科事典でもよいと思います。図鑑や百科事典の文章は、けっして文学的とはいえませんが、正確さ、わかりやすさを備えるため、「技術としての日本語」を学ぶには、かえって適しています。
漫然と読むのではなく、わからない単語があったら、書き出す!辞書で調べる!そのような成果があると理想ですね。

ご家族みんなで、日本語の技術を高めてみませんか!

筆 ムーヴ編集部員 M ムーヴ2007年1号掲載記事より

※編集部員(元進学塾講師)の主観・主張によるものです。一般的な学説、教授法などに一致しない内容を含む可能性はあります。なにとぞ、ご了承ください

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