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ムーヴ コラム 男子校特集
理想の男性を求めて
筆:鶴亀算太郎
【ムーヴ2009年2号「男子校特集」掲載記事】
世のお母さん、幼少時から異性として「理想の男性像」をお持ちでは?それはどのような男性だろうか?お父さんも、憧(あこが)れの男性像を語れるはずである。
大仰な教育論はさておき、「理想の男性」を思い浮かべながら目の前の坊やを見つめてみよう。そして、10年後(22歳前後)、20年後(32歳前後)の姿を空想してみよう。男子の教育は、つまるところ「わが子を理想の男性に近づけるにはどのような手段が適切か?」と計画すればよいだけだと思う。
理想の男性は最高学府で学ぶべきだ、と主張するのなら根性で5教科7科目を極(きわ)め、同時に知性教養も磨く。やっぱり男性は身体を鍛えるべきだ、と確信すれば無理にでも運動着を着せてグラウンドに引っ張りだす。教育は基本的には保護者の責任だし、公序良俗に反せず、子どもたちを不幸に陥れない限り、保護者の好きなようにどうぞ、だと思う。性格や技術能力は、これからの成長過程によってまだまだ花開く。そのためにも「育てる」「導く」が必要だ。余談だが、遺伝子に支配される?外見でさえ、立ち居振る舞いやオシャレのセンスでだいぶ違うから希望を捨てないように。特に男子の場合は身体の鍛え方でも異なるだろう。
*基本の「自主・自律・自立」
「自主・自律・自立」は、男子校に限らず校訓の定番。実はこれが理想の男子像の根底だ。間違いない。つまりダメな男子は、自主・自律・自主に欠けるということ。「自分からは何も動かずイイナリばかり。グズグズと判断留保でイイワケばかり。意見もなく迎合して、責任逃ればかり、ヤルベキことを放置して、グータラばかり、な男子ではサイテーでしょう?これは12歳の坊やでも44歳のオヤジでも、レベルの違いはあるにせよ、ダメダメ男の典型。女性の方が嫌う男子の属性としてトップクラスに燦然(さんぜん)と輝く「マザコン」と蔑(さげす)まれる男も、根底は「自主・自立・自律」に欠落だと思う。
「ムーヴ」をお読みの大半のお母さん方は、「そんな男性はイヤだわ!」と共感いただけるだろう。が、しかし!ケッタイなことに、そのようなお母さんが、今まさに自分の息子をスーパーマザコンに育てようとしているのだ。あれこれと干渉する。何でもやってあげる。いつまでも自分の手元に置きたがる。などなど。罪を重ねる。
せめて息子さんは、ウジウジしたマザコンキャラにならないよう育てるべきでは?毎年申し上げるが、ローティーン時代は必ず「親離れ子離れ」を意識してほしい。「自分でやりなさい!」ってある程度距離を置く。「あなたはどう思うの?」ってちゃんと意見を言わせる。
男子は(女子も)自立するために意識的に親から離れようとしているだけ。反抗期とはいえ親を本質的に嫌悪するわけではない。母親が引き留めて親離れが許されず、終末的な戦争や国交断絶に発展する。反抗期のトラブルの責任はたいてい母親側にある。男子成長の最大の関門である「母親離れ」。くれぐれも正しくステップを踏んでほしい。
トラブルやスランプに見舞われたときは、まずは本人に対処法を考えさせるように。次々と解決策を押しつけてはならない。自立期の子どもたちには男女問わず自然治癒力が備わりつつある。自分で困難を克服する姿勢を高める好機だ。危険度が低ければ少々放置するのもよいだろう。
(ただし、危機的な状況と判断された場合はタイムリーな強引さも必要だ。もたもたしていると、事態はあれよあれよと悪化してしまう。)
*ハードボイルドヒーロー
スポーツ選手でも芸術家でも、映画やコミックのヒーローでも、お母さんの初恋のお相手でも、もっと身近な仕事場の男性でも、もちろん、幸いにも現在の旦那さまであっても、憧(あこが)れの男性って、一人で何かを成し遂げていたでしょう?一人で歩むのが似合うキャラでは?チームプレーのなかにあっても存在感が輝いていたのでは?
つまり、自分自身の判断で主体的に行動し、集団のなかで積極的に機能する男子こそが理想。ハードボイルドヒーローは、一人でも生きられるし、世のため人のためにも貢献する。一人でナントカして、さらにまわりに役立つという姿勢は、もう小学校の高学年時代から養わなければ、大人になっては手遅れだと思う。
男子だから~、女子だから~、がズバリ語れないご時世ではあるが、当コーナーは「男子校特集」だから遠慮なく記そう。男子はやはり「力持ち」じゃないと!もちろん、ジャムの瓶のふたがあけられるとか、身体能力としての力持ちも一家に重宝だが、知的な要素も含めたトータルな力持ちであるべきだろう。頭もよくて知識も豊富。瞬発力や判断力にも優れ、精神的にもタフ。つまりつまり、女性にとって「頼もしい」存在、あるいは「いっしょにいて安心できる」存在だろう。例えば、ジェームスボンドなんて知力・体力・精神力・教養・マナーに突出したうえに国家守護のために命をかける。男前の最高峰。映画のヒーローと比べてどうする!なのだが、そういうのって理想に求めてもよいのでは?
力持ちだけではダメ。ハードボイルドヒーローは「ニヒルに見えて実は情に深い」が定番の設定。レディーファーストなどのマナーとしての気遣いから、女性や世界のために命もかけるボランティア精神まで、気の優しさが求められる。世の中では「優柔不断」「気の弱さ」を優しさと誤る傾向があるが、あくまで主体的で積極的で力強い優しさ。
威張り散らさなくても、自然にみんながついてくるリーダーシップもほしいところだ。
*さてさて、理想の男子を目指す基本姿勢は?
基本は「お手本を示す」だと思う。これは古来教育の基本。子どもは親を倣(なら)い育つ。
ともかく、お手本を見せて、「とうちゃんかあちゃんのやってる通りにやりなさい!」で十分。子どもに勉強させたければ、まず保護者が勉強する姿を見せなければ。整理整頓や時間厳守を教えたければ、保護者が率先して部屋を片付けなければ。もちろん、男子にとって最大のお手本は父親である。子どもが塾から帰ってきたら父親が居間でくだらないお笑い番組に爆笑していたなんて、父親ってそれでいいのか?と思う。運がよければ「お父さんのような男にならないように生きよう」となるが、それはそれで、ちょっとした事件で触発の危機をはらむ。イイワケやゴマカシはNGだ。できないことはできない。もし息子に負けるのであれば、素直に評価してあげればよいだけ。場合によっては「今回の件は、とうちゃんが悪かった」と潔く謝まればよい。その行為そのものがお手本となる。
お母さんのNGは、お手本を示さず何でもやってあげること。小学校6年生の男子生徒の靴を履かせてひもを結ぶ母親を見かける。靴を履くのを教えるのは幼稚園児前じゃないか?その子の将来に恐ろしい事態が起こらなければよいが・・・。
決して勉強やスポーツに限らない。例えば、休日にお父さんが、黙々と自分の靴を磨いているという風景もよいではないか。やがて、子どもはまねするだろう。革靴でも運動靴でも靴磨きは、男前に似合うスタイリッシュな仕事だと思う。さらに、母親に優しくさりげなく家事も手伝う父親を見ていれば、将来、女性を労(いたわ)ろう、って思うに違いない。夜にモーツアルトを聴きながら読書していれば、なんとなくオイラもまねしてみようかな、となる。仕事の後も近所のジムに通っていれば、オイラもついていきたいな、となる。なんだかんだと与えるのではなく、保護者自身が日常生活のなかで示せば、自(おの)ずとまねをするのが子どもなのだ。小学生(特に男子)はまだその段階。
時には力強く導いてほしい。毎夜ベランダに立って、「阪神の星を目指せ!」と夜空を指さすくらいのベタな演出がほしい。黙ってオレについてこいと引っ張るくらいの強引さがあって、子どもたちは安心する。特に中学入試時はそうあるべし。
強く導くためにはコミュニケーションを密に。それなくては反抗の火だねとなる。親離れの時期だからベタベタは禁物。一人の人間として扱い話し合う姿勢だろう。説得するときは徹底的に。意見も聞く。「オマエはAとBどっちなんだ?」「ボクはAです」「いや、とうちゃんはBだと思う。そちらが正しい」「いいえ、ボクはBには不満です。」「違う、オマエの意見も尊重したいが、とうちゃんが責任を持つからBを選べ!結果的にBがオマエのためになる!」といった話し合いと説得がかっこいいじゃないか。(保護者側は帰着点を想定しておくように。)
以上、何をお伝えしたいかというと、やはり「男子たるモノは~」は必要だ!である。女子のいない男子校は堂々と「男子たるモノか~」が叫べる。その観点において、これからも男子校の教育には期待したい。
▼反抗期のない子はよい子なのか?
反抗期が見えない男子もいる。これには2種類。タイプAは、母親が手放さず息子側もそれに甘んじているパターン。Bパターンは、なんと中学生にして自立したうえで、親を敬い大切にする気持ちがあるため、むやみな反抗心は見えない。もちろん、Bタイプが理想。中高時代に、そんな夢のような息子に出会いたければ、12歳13歳アタリの対応に配慮しよう。「うちの子は反抗期がなくて」なんて安心していてもAパターンであれば、将来もっと悲惨な事件が待っている。中学生にもなって、「まま~」などと甘えていては、一見よい子に見えても、将来、かな~り危険だ。
以上、理想の男子とはほど遠い鶴亀が自分のことすべて棚に上げて偉そうにお話ししました。ご容赦ください!
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