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実は、2007年度の「健康子育て受験生」の統一テーマは、親子関係。子どもたちを守っているのは親であり、ダメージを与えるのも親なのだ。
今回は、主に受験直前期における、子どもたちの危機について、お話ししたいと思う。これまでの内容を確認するための、実践的なアドバイスとしてお読みいただければ幸いだ。
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長い間、塾で生徒たちと接していた。当時、つくづく感心したのは、小学生なのに屈強な体力だ!ということ。成長にエネルギーを消耗し、朝早くから小学校に通っているのに、夜は塾で勉強している。「こんなに勉強ばかりで、1月には倒れるんじゃないか・・・」、という心配は、あっさり取り越し苦労と終わる例が多かった。ちょっと残業したくらいで、得意げに疲れを主張する、甘えん坊なお父さんは見習った方がよいだろう。ちょっと原稿の締め切りに追われたくらいでグッタリしているオヤジは猛省を求める!(それは私か・・・。)もちろん、個人差はあるし、しっかりとしたケアは要するだろうが、小学生は、身体的には意外にがんばれる、と確信している。
ただし、精神的な健康が伴う状態が前提である。成長期の子どもたちにとって、身体よりは精神的な要因の方が怖いと思う。
■このヒトコトがすべてを壊す
家庭でのNG事項については、すでに1号2号で、ご理解いただいているとは思うが・・・。念のため代表例を列挙しておこう。毎号毎号の繰り返しでクドイが、大切なことなので許してほしい。親は保護の最終ラインで。親からのちょっとした一言が、一瞬にして、モチベーションもエネルギーを奪ってしまうからだ。
▲他人と比べる
入試直前期のお決まりの火種。「お兄ちゃんのときは、何の心配もなかったのにねぇ(タメイキ)」など兄弟比較がありがち。かつ、危険度「高」。
幼児の延長にあるかのように見える小学校高学年だが、自我が目覚め、他人と自分を比較して自己評価に悩まされている。学力・運動能力・容姿・家庭環境に至るまで、友人、兄弟姉妹、あるいは「自分が理想とする像」と比べる。それは、長い人生にかかわる重大な問題を引き起こすといわれている。入試合格を目的とした塾では、常に競争にさらされ、自分がどの位置にいるのか?という現実を目の当たりにしながら生活している。よほどの秀才や楽天家でなければ、少なからず劣等感が備わっている。
親の過大な期待は許す。それが親の自然な心情だ。だが、あくまで、絶対的な基準で、評価するべきであり、指導してほしい。日ごろから、「あなたはあなた。他人(ひと)と比べてど~のこ~のじゃないでしょ!」と、あえて、言い放つくらいの家庭文化がよいと思う。
▲親の見栄(みえ)をちらつかせる
「あなたが○○中に入ってくれないと、お母さんもご近所で恥ずかしい。」などという発言。厳しいようだが、すでに恥ずかしい言動だと思う。親の見栄(みえ)で受験させるのではないだろう。「塾に高い月謝を払っているんだから。」も、ひかえた方が賢明だ。教育を選び、塾に通わせようと決断したのは誰なのか?よ~く考えてほしい。この発言がつもると、やがて、子どもは(親から)遠ざかっていくだろう。
▲後悔する
受験期に注意するべき定番的なNG事項。「5年生から始めておけばよかった」「夏休みにもっと勉強しておけばよかった」「2科に絞っておけばよかった」・・・。
いまさら、後悔発言が何を生むのか?常に前へひっぱるのが親の使命ではないか。子どもたちは、そういわれてしまうと、まるで自分が悪いかのように追い込んでしまう。「あなたは、もっとがんばれるんじゃないかと、期待したのにね・・・」なんて、もはや終末的なセリフといる。人生に反省は必要だ。でも、それは、受験後でもよいと思う。直前期はとにかく前に進むエネルギーを優先してほしい。
なお、類似型として、なげやり妥協発言がある。「もう、受験やめて区立に行きなさい!」「もう、○○中学校でもいいからっ」・・・。これも、子どもたちを一瞬で疲れさせるセリフ。理由はおわかりだろう?
▲脅迫?
「○○中に入れないと公立に行くのよ!それでもいいの?」「勉強しないと、将来、負け組になるのよ!」など、「受験に失敗すると悲劇が起こる」という文脈による脅し。「○○中に入ると、こんなに楽しい!」「勉強すると、こんなすばらしい人生が待っている!」というポジティブ文脈が正解では?「お父さんみたいな大人になってもいいの!?」は、いまどき、さすがに絶滅したとは願うが。。。
子どもたちは、自分から「○○中に入りたい」という動機もあるが、実のところは「両親の期待に応えよう」という要素が大きいと思う。つまり、特に何もいわなくてもプレッシャーや不安に怯(おび)えている。プレッシャーをゼロにはできないだろうし、適度な緊張感は必要だ。ただし、あえて不安を煽(あお)るような発言はひかえた方がいいと思う。
以上の件、けっして、ハレモノ扱いせよ、ではないので誤解しないでいただきたい。「グチグチ落ち込んでいないで、今、できる勉強やりなさいよ!」「受験生でも部屋の掃除くらい自分でしなさい!」などと、積極的な指導は許されるし、私としては、むしろ推奨したい。ただし、「親の弱点を見せる(隠そうとする)」「人格の根幹に刺さる」発言はヤメなさいということ。従順な子は、それでもがんばれるが、反抗の元になって将来取り返しのつかない惨劇を呼ぶ。
自我がしっかりと確立している子は、おおむね、(少なくても鶴亀から見て)親子関係が健やかだった。根が健全であれば、母親は「▲▲中学なら自分で学費稼いで通いなさいよ!」なんて、本来のNG発言でも大丈夫。受験生本人も、厳しい塾の講師に対して「こいつ、今に見てろ!」くらいに不敵な笑みで逃れる余裕がある。
■これがSOS信号だ!
少々無理は承知でも、残りの数か月は突き進むべきだと思う。根性論は排するべきだが、その努力で得られるモノは、○○中学校合格以上だ。しかしながら、あきらかな異常の場合は別。保護者の方が見極める能力が一生を左右するかも知れない。
子どもたちは、窮地に陥ったときには、SOS信号を発信する。それは大人よりわかりやすい。そして、親こそがそれを発見できる。それは前号でお話しした。ここでは、私の塾時代の経験から、子どもの発信するSOS信号を紹介しておこう。もし、覚えがあるのであれば、即、専門的な「治療」が必要だ。
▲時間にルーズになる。
塾時代、ある校舎の責任者を担っていた時期がある。全講師に指示したのは、「生徒の遅刻を甘く見るな!」だった。ミミズもオケラもアメンボも、一般的に生物は疲労すると、動きが鈍くなる。そうして、時間に合わせられなくなる。大人でもそうだろう。
いや、実は時間にルーズになる理由は単純な体力消耗ではないのだ。体力消耗だけなら、人間は気丈にがんばろうとする。アメンボだって命の限り戦うだろう。問題は精神面の疲弊だ。時間についていけないのは、意欲がなくなっている証拠。ずばり「現実逃避」だ!学校に行く時間、帰宅する時間、塾に向かう時間など、特に家の出入りに関する時間に注意してほしい。塾に行く時間はもちろん、帰宅時間もズルズルと遅れるという事態は、家庭に戻りたくないのであり、さらに重大な問題。罪悪感があるため、責められない程度の軽微な遅れから始まる。その段階で適切なケアをほどこしてほしい。特に管理の死角となるのが通塾。家はいつもどおり出たけど塾には遅れている、という事態は気づきにくい。安全対策の観点からも、塾の先生との連携体制を密に。
▲志望校が変わる・公立に行きたがる
それまで目指していた志望校から一転して、違う学校を希望するようになる。上位の大学を志願するなど積極的な理由があればよいが、これがSOS信号の場合が多いと思う。また、中学受験そのものを嫌がる場合はかなり危険だと考えよう。理由はさまざまだと思うが、基本的には逃避。もしくは自己合理化だろう。
その場合は、けっして頭ごなしに否定しないように。まずは「主張」をよく聞いてあげることから始めよう。症状によっては、とにかく対話で時間を稼ごう。初期症状では、単に自信を失っているだけで、それは本心ではなく、否定して励ましてほしいという心情が多いと思う。
(ヒント:妻「私、太っちゃって・・・」に対して、夫「そうだね、太ったね」と返すのはヤボでしょう?)
▲「かまって君」現象
部屋にこもる傾向も心配ではあるが、その逆も危険をはらむ。
たとえば、夕食後にもリビングを離れず、珍しく父親に話しかけている。平和な光景のように思えるが、実はこれが親へのSOS信号の場合がある。一人になるのが怖い、もしくは、かまってほしいという信号だ。妙に親切に家族にお茶を入れておやつの準備をするパターンもあるらしい。これは、「家族との対話」というポジティブな状況に身を置いて安心を確保しながら現実逃避する行為。大人でも同種の行動は観察できる。(身に覚えはないだろうか?)
受験生が頻繁に台所に忍び寄り、冷蔵庫を開ける現象が報告されている?たいしてのどが渇いているわけでもないのに、牛乳を飲んだり、何もとらずに冷蔵庫を閉めたり。これも勉強部屋からの軽度な逃避だといわれる。「居間で勉強してもいいのよ」優しくアドバイスしたり、悩みを聞き出したり、適切に判断してほしい。
単なる怠け者は、テキトーに追いやっておけばよいと思う。その判断には、親しかできない観察眼を要するか?
スランプ時はとりあえず励ましのことばを。「そんなことないわよ、がんばりなさい、きっと大丈夫よ。」と。次に庇護(ひご)の確認。「誰もあなたを非難しないから。」ということ。ベースにそれがあるから、厳しい指導もできるのだ。これは実際にあえて口に出さなくても日ごろの態度で示すのが基本。さっぱりと話をするのがポイント。過保護で甘~いニュアンスにならないように。
子どもも大人もストレスがひどくなると、生理的な症状にあらわれる。子どもは大人と違い、自分でヘンだな?と感じないまま症状が進行するので要注意。心因性の場合、まず「睡眠と食」に出ると思う。それが、動物の基本的なリズムだ。休みの日に死んだように一日中眠っている、夜眠れない、早朝(夜中)に目覚めてしまう、など。特に深夜早朝の症状は保護者の方が気づきにくい。体調が悪そうなときは、睡眠の様子を、よく観察してほしい。食欲がない、すぐお腹(なか)を壊すなど、ストレスは胃腸系に及びやすい。特に、全く食べない、異常に食べつづける、食べたものを吐いてしまう、などは重症だと思う!単なる疲れだと思わず、必ず医者に相談すること。
(私も、教室で「この部屋は酸素が少ない」と主張する生徒が幾度か経験した。心因性の症状で、息苦しく感じる症状があるそうだ。)
「自分は自分」そして「お母ちゃんお父ちゃんがオイラの見方だ」という意識。これが自己安定。心身の健康の源だと思う。
とにかく、健康第一。でも、志望校合格も第一だ。難しいことではない、ちょっとした注意だけ守れば子どもたちは、想像以上に伸びる。健闘を祈る!鶴亀算太郎
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編集部注:学習塾での受験生の指導経験により書かれた記事です。小児医療・児童心理などの専門家ではありませんのでご了承ください。心身の健康については、かならず専門家の適切なアドバイスをうけてください。
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