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ムーヴ編集部コーナー「チーム鶴亀」
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けなげな女子受験生についてのストーリー

このストーリーは、ある学習塾の先生の経験談より、ムーヴ編集部が執筆したものです。
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小学校6年生の春から塾に通い始めたSSさんという女子生徒がいました。学習塾の休み時間には、子どもっぽくちょっかいを出してくる男の子を「てきとうにあしらう」という風情をよくみかけました。お姉さん風のSSさんは、同級生男子の憧れの的?だったのかも知れません。この世代にはよくある、微笑ましい光景です。
そのことは、このストーリーの本質ではありません。

SSさんは、成績は中堅。志望校は、本人曰く「制服がかわいいー」「家から近いしー」「学校もきれいだしー」のA女子校でした。もちろん、単に制服や場所だけで決めているわけではないことはわかっていたので、問題はありません。「将来は通訳か映画の字幕の人になりたい」とも言っていました。その学校は、英語教育でたいへん評判が高い学校だったのです。しっかりと学校を研究していたのですね。自分の実力よりちょっと上というレベル設定も絶妙でした。「うるさい男の子がいないほうがいい」とも言っていました。女子生徒は、将来設計がリアルでクール。「センセイ、○○中に行ったら高校受験ないの?」とか「夢は野球」などとトボけた男子生徒とは大違いです。

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さて、秋の進路面談。SSさんのお母様とお会いして、「A女子校を第一志望にして、併願校を決めていきましょう。」という話題。お母様は、「娘と相談して決めてください。娘の行きたい学校、受けたい学校なら、父母ともにどこでもいいですよ。」とのことでした。
本来なら、「とっても理解のあるいいご両親だな」と思う場面ですが、実は、私は違和感を覚えました。

SSさんには3学年上のお兄様がいて、私は、お兄様のときも進路指導に携わりました。だから、このご家庭とは、ずいぶん長いお付き合いでした。実は、お兄様は、進学校として知られる、B中学校に進学しました。第一志望のC中学校は残念なことになったのですが・・・。そのときは、ご両親とも、「絶対に、C中学校に入れたい。悪くてもB中学校。それがダメなら公立に行かせる!」とおっしゃっていたのです。その印象が強かったので、SSさんの面談の対応は拍子抜けだったのです。
(そういえば、1学期の段階では、「特に面談は必要ありません。」ともおっしゃっていたので、SSさんに関しては、お母様とお話しするのは初めてでした。)

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コートを着る季節になったころ、SSさんが、私のところに来て、「やっぱりA女子校はやめる。D中学校にする。」と言ってきました。そのD中学校も、SSさんの実力に合っていたのはよいのですが、ここでも「ちょっとへんだな」と感じました。D中学校は共学校。そのうえ、通学に1時間以上も要する学校です。それまでのA女子校とは印象が違います。よく、成績が追いつかず、自己防衛的に志望校を下げてくる生徒はいますが、SSさんの場合、決してそんなことはありません。何かの心変わりかな?成長のプロセスかな?とも思い、「そうだな、それはそれでいいんじゃないか」などとあいまいな対応をしてしまいました。
 
そして、事態は、さらに悪化したのです。

その後、SSさんは、塾の講師室で学校案内を一人で力なくパラパラと見る光景が増えました。そして、「センセイ、やっぱり、こっちのE中学校がいいかなあ」とか、「受験やめて○○中(公立)に行こうか」などと、近くにいる講師をつかまえては、問いかけています。
そして、学習への集中力も欠けるようになりました。

お母様と電話して、「志望校の件なんですが・・・」と問いかけたところ、同様に、「娘が好きなところを受ければいいと思っているんですよ。」と相変わらず。そして、「女の子ですからね、そんなに高望みはしてないんですよ。のんびり育ってくれればいいかな。公立でもいいんですけど、ちょっと、風紀も悪いようだから・・・。」
といわれても、SSさんご本人の真意がわかりません。
男性の私は、女子生徒の微妙で繊細な心境がわりはわかりにくい、コミュニケートがとりにくい、と思うことがよくあります。仕方のないことです。でも、そのような状況を放置するわけにはいきません。そこで、私は、その塾の校舎で唯一の女性講師の力を借りることにしました。この策は正しいことなのかどうかはわかりませんが、もしかして、成長過程における心身の変調に原因があり、女性講師の方が話しやすいかも、と考えたからです。その女性講師はSSさんと教室で1時間も何かを話していました。そして、何かをつかんだ!という様子。そして、その後私は、その女性講師のアドバイスに従い、進路指導を進めました。

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結果、SSさんは、初志であるA女子校だけに複数回出願するスタイルとなりました。実力よりちょっと上でしたが、複数回受験ですしなんとかなると思っていました。もちろん、合格して、今でも「制服かわいいでしょう!」と塾の遊びに来ることもあります。「英語が難しくてたいへんだよぉ」とか「○○中(男子校)仲いいんだよね~」などと笑っています。

さて、助っ人の女性講師が、授けた作戦は何か。
「とにかく、A女子校を徹底して勧めてください。ほかの学校の話題があったら叱るぐらいでもいいです。校舎全部で統一して、彼女にはA女子校統一でお願いします。」


⇒さて、このストーリーの教訓は何ですか?SSさんが求めていたのは何ですか?特にお父さんにとってはちょっと難しいですか?

(2004年度ムーヴ掲載記事より)

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