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ムーヴ編集部コーナー「チーム鶴亀」
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男子校に期待するわけ 鶴亀算太郎

お母さんたちにかわり、男子校への期待を叫んでおこう。もし共感できるなら、2学期は男子校を中心に訪ねてほしい。

●理想の男性を育ててほしい。

ご子息を私立中学校に導くお母さんは(あるいはお父さんも)、まず、ご自分の理想の男性を思い描いてほしい。幸いにも、ご主人が理想の男性であれば、それでもよいが・・・。息子さんには、理想の男性に育ってほしいと願うでしょう?

と、投げかけても、そもそも、お母さんの要望が、意外にも古典的。あるいは、近視眼的。「○○中学に入ってぇ、6年後には東大に行ってね!」なのだ。それはそれでよいのだが、もっと広い視野、高い視点で思い描いていただきたいのだ。晴れて願いはかなっても、陰気で、不気味で、冷酷な東大生では困る。もっと、人格や趣味素養など、広範囲な観点で理想を設定してほしい。

自分自身や社会に対しての誇りを胸に生きる男子。平和、正義、公正を尊び、他人の幸福を願い社会に貢献する男子。
優しいハート。頑丈な心身。教養にあふれスポーツも万能。何事にもアグレッシブ。グズグズと愚痴らず、責任回避もせず、ひとを頼らず、自ら道を切りひらく。ねたみもせず、自慢もしない。Tシャツにジーンズでも十分カッコいい。チャラチャラとおしゃべりではないものの、豊富な話題と軽妙な話術でひとを楽しませる。さりげなくピアノが弾(ひ)けるし、魚もさばく。堪能な語学と交渉力で海外旅行でもスマートエスコート。宇宙からの侵略からも家族や世界を守るスーパーヒーロー。できれば、米国で10億円くらい稼いでくれればベストだろうが・・・。

さて、少々度を超えたが、レベルはともかく、理想の男性を育てるための必須テーマは「親離れ・子離れ」の過程だと思う。
いつまでも、ピーピーと大口を開け、親にエサを与えられているようでは、いつまでも青い空高くへ飛び立つことができない。自分で食物を得よう!飛び立つ練習をしよう!そう志す姿が自然なのだ。特に男子はこの過程が重要。母と息子は、人類最強のベタベタ関係。意図して切り離さないと、将来ヤッカイでメンドウな問題として腫れ上がるからだ。多くは母親側が子離れを阻止しているので注意。母性とは、庇護(ひご)の象徴。「失敗したら帰ってきなさい」と慰める存在だ。しかし、そろそろ父性の教導、つまり「成功するまで戻ってくるな!」の時機だと思う。

もちろん、男子校も母性的な要素は備わっているが、やっぱり、共学校よりは父性的な局面が多いと思う。「みんな、ついてこい!」いう教育だろうか。それが、親離れの段階を過ごす教育環境にふさわしいと思うのだ。
男の子はどうやって育てればいいのかしら?と悩むお母さん!そろそろ、ご子息を父親、そして男子教育専門家(=男子校)に預けて、基本的な教育をオマカセするという計画はいかがだろう。理想の男性に育てあげる、確かな道だと思う。(その方がお母さんも楽でしょう?)
母親の保護から離れると、エサにありつけずに飢えてしまったり、無理に飛ぼうとして地に落ちたり、苦労苦難に直面するだろう。でも、そういう苦難体験を通じて、自立した屈強な男子に育つ。さらに、その苦しみを肌で感じて、相手の心の痛みも共感できる人格が備わる。苦労は買ってでもしろ、というが、まさにそのとおり。武家も僧侶も職人も、母親から距離を置いて修練に励んだのだ。一休さんだって、母上さまには、なかなか会えないのだ。(ネタが古いが・・、アニメの一休さんって10歳くらい?)

親離れの時期。お母さんは寂しいとは思うが、憂えるなかれ。これまで健全に育っていれば、息子さんの胸の中は母への感謝の気持ちで満ちている。生まれたときからお乳をもらい、夜も寝ずに世話をしてくれたのだ。記憶はなくとも母を慕う血が全身に流れている。(対父親への感情とは根本的に異なる。)むしろ母と距離を置く環境で、愛情が熟成されると思う。
18歳にもなると、「ただいま、お母さん。」と、たくましい親孝行息子が帰ってくる。それこそが、感動の男子教育だと思う。

●タフな男性に育ててほしい

昨今は、ほんとうに男の子が弱すぎる。塾の教室でも同じ。女子にチクッといわれてベソベソする。ちょっとした体調不良で勉強を休む。テストが悪くていつまでもグズグズ落ち込む。さらに、女子が強くなっているので、問題も深刻。私も、「きみたち~、将来どうするんだよぉ!一生、女子にいじめられるぞ!」とマジに憂えている。そこで、少々の誤解も覚悟で叫んでおく。
とにかく男子校は、男子を鍛えてタフな男に育てていただきたい!

タフといっても、単なる「力持ち」「ケンカに強い」にあらず。いわんや、女性に負けるな!では論外。
求められる強さとは、心のたくましさだ。たとえ身体が弱くとも、自らのベストを尽くし社会のなかで生きる精神。「不屈の精神」というべきだろうか。困難にもくじけない気力。自らの人生を自らの力で切りひらこうとする志。社会のため他者のために力を注ぐ心。男子校が目指す強さは、「品性」「知性」を前提とする。まさに理想の男子像だろう。

共学校では、「男子たるもの、たくましくあれ!」って、叫びにくい。「女子はどうなのよ!」つっこまれてしまう。で、なんとな~く男子への教育がパワーダウン。男子だけの男子校では、毎日、「君たち、強くタフでありなさい!」といえる。(たとえばではあるが)「女性を守る強い男性になりなさい」でもよいではないか。「女性を大切にしなさい」という観点で、女性軽視でもなんでもない。ですよね?
男子校に多い「身体を鍛えろ!」「精神を磨け!」を目的とする修練も歓迎したい。ウチの子は大丈夫かしら?などと心配は不要だ。遠泳だろうが、寒中マラソンだろうが、座禅だろうが、登山だろうが、在校生は爽(さわ)やかにクリアしているのだ。

私はイナカの県立高校出身。セーラー服&学生服のローカル共学校ではあったが、校訓のひとつに「文武両道」があった。旧制時代の名残なのだが。
「文武両道」は男女にもあてはまるとはいえ、やはり、男子校的なスローガンだろう。男子校では「文武両道」を掲げやすい。ずばりの校訓ではなくとも、多くの男子校では環境・文化において根付いている。
ゆえ、男子校こそ、真の文武両道を期待したい。
努力目標に終わらせず、具体的な結果として示してほしい。高校3年生の冬まで剣道に励み、ボランティア活動も取り組みながらも、ちゃんと東京大学に現役合格する。カッコいいではないか。そして、そういう生徒は実在するのだ。今年の夏、ある男子進学校を訪れた。グラウンドは気温37度の炎天下。生徒たちが元気よく汗を流していた。なんとも頼もしく清々(すがすが)しいではないか。
共学校では女子の目が気になり、「斜に構える」傾向もある。「一生懸命はかっこ悪い」という感覚。男子が気がねなく真剣な姿勢でいられる場所。それが男子校の魅力。やっぱり、学習もクラブも行事も趣味も無邪気なまでに一生懸命な男子がよい!
さてさて、「武」の方を強調してしまうが、「文」の充実は当然の前提。あえて「ムーヴ」で記すまでもないかと。
今も「大学進学」を求めて男子校を選ぶことには意義はあると思う。男子校で学び、どんどん難関大学を目指そうじゃないか。ただし、その先の高きも志してほしい。
世の男子校諸君、東京大学なんて、口笛吹きながら軽々と入れ!そして、それだけで満足するな!といいたい。(とりあえず自分の学歴は棚に上げる)

12歳から18歳。男子にとっては心身の最大の成長期。(どうでもよいことだが)私は中学の3年間で身長が25センチ伸びた。反抗期、思春期というデリケートな時期をくぐり抜ける。長い人生でも、この時期だけは決してやり直しができない。この時期だけに体験するべきことがある。
男子諸君、学力とあわせて人間的な豊かさも備えてほしい。そして、男子として果敢に挑戦していく気持ちを保ち続けてほしい。

そのために、男子校の先生方には大いに期待している。

以上、理想の男性とはほど遠い鶴亀でした。 

(ムーヴ2007年2号掲載記事より抜粋)

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