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受験生の冬支度

6年生のご家庭では受験直前です。入試本番に備える時期です。「ムーヴ」では、いろいろな具体的な準備の前に、基本姿勢を確認しておきたいと思います。タイトルは「受験生の」ですが、保護者の方の「気持ちの冬支度」の参考に。
(ムーヴ2008年3号掲載記事より)

■親はいつも落ち着いていること

11月・12月。志望校を決定しなければ!受験期のスケジュールを組まなければ!慌ただしい時期ですね。志望校の変更を強いられる場面もあるでしょう。
どんなときにも、保護者の方は落ち着いていましょう。親がイライラしていたり、オドオドしていたりでは、子どもたちは想像以上の不安に襲われます。親のトラブルは致命的な傷を残します。殊勝な子どもは、「ボクのせいでお母さんがイライラしている」と自責の気持ちさえも抱きます。

厳しさは必要ですが、最終的には守ってあげる、味方になってあげる、という安心感を積極的に確認してください。それこそが、受験生の冬支度の最重要課題です。(ただし、甘い過保護調は避けましょう。)受験期のスケジュールを決めるとき、最も大切な観点は、起こるべき事態を想定して対策方法を備えておきましょう。最良のゴールを目指すために、最悪の事態への対処を想定しておくのです。万一、大きな病気になったらこうする。万一、不調で直前に志望校を変更するときはこうする。とある程度、心と行動を定めておいてください。直前期は保護者の方も冷静さが欠けてしまう場面もあります。あらかじめいくつかのパターンが頭にあれば落ち着いて行動できるでしょう。お子さんが息切れしたとき、保護者の方は、たくましく導いてください。

最大の危機は、残念ながら希望がかなわない、とわかったタイミングに起こります。当日の不合格は当然ですが、これまで目指してきた志望校の断念を強いられる場面も同じです。この場面での対応はその後の人格形成に多大な影響を与えます。慎重に対処しましょう。

まず、お母さんもお父さんもガッカリしないように。親が落胆していると、自らの劣等感や挫折感に加え親への責任まで背負ってしまいます。反抗期になるとそれが逆流し、たいへんな危険の芽となります。本人を責める発言や、後悔のコトバは絶対にやめましょう。「受験校が変わっても、お母さんもお勧めの学校だし、楽しく過ごせるわよ。安心しなさい!」と励ましてあげましょう。もし、努力不足を指摘するのであれば、しばらく時間がたってからの方が効果的でしょう。当然ながら、「○○くんはよくできるのにね」などと友人と比べる発言は最悪の命取りです。

追:受験勉強に浸っていると、学校を何か社会の序列かのように見るようになってしまいます。下位の学校を見下したり、上位の学校をねたんだり、不健全な感情がわき起こります。これは矯正しましょう。保護者の方も「見栄(みえ)」が先行しないように。大切なことは、子どものこれからの成長。本質を見失わないように。

■主体的な受験期を

子どもたちは受験という経験を通じてたくましく成長すると思います。中学入試は成長過程の大きなドラマでもあります。

さて、受験生の冬支度。基本的には本人の役目です。お母さんがあれこれと世話を焼いて、引きずるように受験会場を連れ回してはなりません。受験の成功の源は、元は子ども自身の自主性です。保護者の役割は、補佐役です。入試当日の持ち物をそろえるのはあくまで本人。お母さんお父さんは、それを見守り、問題がないか確認する役割。また、そのノウハウを授け伝える役割です。

11月からの中学入学までの5ヶ月間、どのような計画で過ごすのか、本人が理解して納得しているように。志望校については、たとえ併願校であっても志望動機について目を輝かせて語ることができるように。それを急に与えるのではなく、自然な会話の中で育(はぐく)んでください。受験の日程、集合時間、受験校までのアクセスなど、も本人がしっかりと把握させてください。入試のスケジュールを何も見ずにいえるようにしましょう。早くから食卓などで一緒に計画を練るとよいですね。計画や主体的な行動を身につけるために入試はその絶好の機会です。

スケジュールをあらかじめ把握しておくと、自分でも見通しがききます。自主性を育(はぐく)むというより、気分的にも楽になる点に意義があります。

■健康管理

「ムーヴ」が再三にわたりお伝えしていること。それが心身の健康管理。
まだ11歳・12歳の幼い子どもたちは、自己管理能力が未熟。身体も心も自分の症状を適切に判断できません。11月は気温も下がります。潜んでいたウイルスも活動を始めます。入試期は1月2月。真冬です。健康管理こそが、冬支度の最重要課題ですね。受験生にとって最も危険なのは、自分の症状を隠してしまうという行動です。入試直前は、志望の学校に行きたい!とがんばる気持ちや、お母さんの期待に応えたい!と使命感に満ちているからです。健康診断や予防注射などの対策も適切にほどこしていただきたいとは思いますが、まずは、日々の観察です。保護者の方であれば、お子さんの、表情や行動で調子を見抜く目をお持ちだと思います。子どもたちの調子が見えるのは外出時と帰宅時です。塾でも学校でも模試でも、出掛けるときの表情が暗い場合は要注意。同様に、帰宅の瞬間もわかりやすい。学校や塾では無理をしている場合が多いので、ほっとした場面で正直な表情を見せるからです。塾に迎えに行く場合は、塾のドアから出てきたときの表情を確かめてください。ひとりで帰宅する場合は、できるかぎり玄関まで出て行って迎えてあげた方がよいと思います。

ちょっと辛(つら)そうだ、と映ったら、さりげなく休ませてあげましょう。必要に応じて専門家(医者)に診ていただきましょう。不調時は、大げさに騒がないように。子どもたちは気持ちが身体に大きく影響します。ちょっとした風邪を大事件のように見せないようにしましょう。「今日は受験のことは忘れてゆっくり休みなさい」と声をかけてあげましょう。

受験期に功を奏するのは、だるいとき、痛いとき、苦しいときに、自分から報告する習慣です。「身体大丈夫?」と頻繁に問いかけても正直には答えにくい心情もあります。「少しでも調子が悪かったら遠慮せずに報告しましょう!」と、家庭のルールとして定めておくように。さらに、無理をするより危険なのは仮病。これは心の病。まずは、学校や塾で問題を抱えていないか、できる限りさりげなく調べ、適切な対処を。

基本は睡眠と食生活ですね。栄養よりも愛情のこもったあたかかい食卓を。塾通いのため、ひとりで食事をとるご家庭でも、お母さまやお父さまがともに食卓に座って、話を聞いてあげるのがよいと思います。睡眠時、特に専用の部屋で休むご家庭は、トラブルが見えにくいので注意しましょう。眠れない、起きない、など睡眠のリズムの不調はたいへんな危険信号です。

手洗いうがいなど、基本的な衛生管理の徹底はいうまでもありませんね。虫歯検診も済ませておきましょう。歯が痛くても受験はできますが、実力は発揮できないでしょう。虫歯こそ隠す傾向がありますから注意ですね。

支度といっても、あまり構えすぎない方がよいかもしれません。人生の大イベントというより、自然な生活の中で受験期が過ごせれば理想的だと思います。花咲く春までもう少しです!

※ムーヴ編集部員による文章です。身体の健康管理は必ず信頼できる専門家の指導を仰いでください。

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