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ムーヴ編集部コーナー「チーム鶴亀」
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大学合格実績を正しく見るために

難関大学合格者数の数名の加減でも、その私立中学校の入試志願者数にも大きな影響を与えています。各学校は大学進学指導をセールスポイントとしてアピールしています。ただし、私立学校は大学受験予備校ではありません。大学合格実績だけで学校を品定めしないように。高い目標を掲げる学校も「ほんとうにそんな実績が出せるのかな?」というクールな視点も必要です。

●まず、大学の状況を正確に知るべきです。

今、大学は劇的な変化の時代にあります。
中学受験生保護者の方の学生時代は20年前ほど前でしょうか?気になる大学や、保護者の方の母校が、20年前とどう変わっているか興味を持ってみましょう。入試難易度・入試システム・学部学科などさまざまな観点で「今も変わらない」という大学は、ほぼ皆無だと思います。名称や組織が変わっている大学だってたくさんあります。80年代や90年代初頭(バブル時代)の感覚で大学を語らないように。(全体としての傾向としては、)上位大学であっても、以前より敷居は低くなっています。世にいわれる2極化も確かに進行しています。大学が専門学校化し、専門学校が大学化しています。などなど。

まだまだ過渡期。2009年の中学受験生が大学入試に挑むのは2015年(平成27年)。それまでには、大学はさらに変貌(へんぼう)するでしょう。そこで、各大学がどのような将来ビジョンを表明しているのか、ホームページなどで調べましょう。大学の改革や変化については、新聞や雑誌などでも記事を見かけると思います。もし、大学進学に重きを置くのであれば、大学の話題も目を通しておきましょう。

●次は私立中高の指導方針を確かめましょう。

皆さんは、「難関国公立」とか、「早慶上理」とか、「GIMARCH」とか、合格実績の単純比較に陥っていませんか。たとえば「早慶上理」大学に100名のA校は、50名のB校に比べて、その教育力に、ほんとうに2倍の差があるでしょうか?同じ東大生でも、C進学校の出身者とD進学校の出身者で姿勢や意欲などにおいて違う、という評判も聞きます。その差こそに私学の教育力の差を見いだしてほしいと思います。

進学指導は結果こそが評価基準といいたいところですが、「プロセス」も知るべきです。そこに学校の真価があります。子どもたちの人生で糧となるのは、一時的な「結果」よりも「プロセス」ではないでしょうか?

まず、その学校の進路指導の基本方針を調べてください。そこに共感する姿勢が大切です。また、進学実績を学校がどのようにアピールしているかにも学校の姿勢が表れます。パンフレットや学校説明会で注意してみましょう。まるで学習塾のように合格実績を連呼しているような学校は、少々違和感を覚えます。難関大学合格を目標に掲げながら、その手法にリアリティーが欠けている学校も心配です。

なお、現在の私学は、大学への進学指導を「結果」として考えずに、あくまで「通過点」と位置づけるのが主流です。大学の合格実績だけを目指すのであれば、受験勉強に徹(てっ)してある種のトレーニングを強化すればよいのです。でも、学校ですから、受験勉強オンリーではなく、部活動や学校行事も大切に、総合的な人間教育に邁進(まいしん)してほしいです。立派な実績を出しながら、「大学進学だけを期待するのであれば他校を受験してください」と堂々と宣言する校長先生もいます。ご家庭の方針にもよりますが、(記者の私見としては)今、私学にはそれくらいの気概がほしいと感じています。

●リアルにシミュレートしてみる

さて、大切なことは2008年の大学入試の成果ではありません。それは、他人の成果。目の前の小学生のお子さんが、これからどうやって成果を残すのか、という観点を忘れずに。

「弁護士になりたい」「芸術の素養を生かしたい」「英国の大学で学びたい」など、具体的な進路を想定してその学校の授業やカリキュラム検証してみてはいかがでしょう。リアリティーが生まれ、各校の違いも見てくるのです。

近年は、国公立志向が強まっています。全体をバランスよく学ぶカリキュラムを採用する傾向にあります。多様な進路に対応できるカリキュラムの柔軟性はひとつのチェックポイントだと思います。理科系教科指導には少々の差があるようですので注目してみましょう。理科系に強い学校が優れているわけではありませんが、幅広い可能性に柔軟に対応するという観点で理数系教科の指導力は頼りになります。

カリキュラム表を眺めてもシミュレーションは難しい!とお感じの方は、カリキュラム表より、各教科の先生の数や時間割表を調べてみると、イメージが湧(わ)くかも知ませんね。

●伸ばしている学校を探せ

昨春の大学入試の成果を残したのは、6年前の入学生です。そこで、6年前の中学入試のランキングと今のランキングを比べてみましょう。学習塾や図書館では、古い資料が保存されているかも。(この6年間だけでもかなり変動していることに気づくでしょう。)

6年前の中学入試のレベルが現在ほど高くないのに、大学受験の実績が優れている学校は「伸ばしている学校」ですね。

さて、少量シビアな話題です。私立学校に通って塾にも通う必要があるのか?これは気になります。特に高校3年生で通塾率が高く大学合格実績もよい、というのであれば、それは塾の功績とも考えられます。「伸ばしている学校」といえるか疑問です。やはり私立学校ですから学校だけで完結してこそ「伸ばしている学校」だと思います。学校の通塾率は学校内でも正確には把握するのが難しい数値ですが、在校生の声などを参考にしてください。

●大学付属校選びの留意点

大学付属中高の変化も知っておきましょう。バブル時代前後、ベビーブーム世代が受験を向かえ、センター試験が複雑に変化した時代。私立大学入試の難易度が高まりました。そこで、大学付属の中高は「エスカレーター式」が魅力だったのですね。ところが、大学入試が(全体として)容易になっている今、付属校の意義も変わっています。付属校の進学校化というのでしょうか。かつてはほとんどが系列大学に進学していた私学であっても、他大学への進学を積極的にアピールするようになりました。大学付属校(系列校)の卒業生の進路状況および進路指導方針・システムは、必ずチェックしましょう。大切なことは6年後。これからどのような方針なのかというポリシーやビジョンを確認してください。

ムーヴ2008年2号 掲載記事より抜粋

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