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鶴亀です。好例の中学受験に臨む家庭の基本姿勢について、私の意見を述べたいと思います。これまでもムーヴをお読みの家庭には、「また、言ってるよ、こいつ~」と、ヤレヤレとお感じとは思うし、恐縮ではあるのだが、少なくとも私は、自らの経験から、ぜひわかってもらいたい、と切に願うメッセージにて、お許しいただきたい。
■まずやるべきことは?
「とりあえず~、なんとなく~、私立を受けてみてもいいかも~、そこそこの学校ならどこでもいいし~」などと、曖昧な姿勢では、受験生家庭として失格だと思う。
いろんな観点で、よ~く考えた末、本当に私立の教育がふさわしいと考えるなら、「えいっ!こっちの道に進むぞ!」っと、大きな声を出して宣言してほしい。そして、一回決めたら、中途半端に振り返らず、道が途絶えても、「ヤブの中でも進むのだ!後に道ができる!」と歩むべし。そのためにも、(繰り返すが、)公立に進むよりは、ご家庭の明確な教育ビジョンが必要。中学受験には、それなりの労力を伴い、ずばり、お金もかける。壁も多い。確信が不十分だと挫折してしまうのだ。
ともかく。親子でベランダに出て、あの星を目指せ!と、シャキーンと指さすくらいの、信念が必要だと思う。なんとか養成ギブスで締め付けるのはムチャだが。子どもたちは「確信」を求めている。少々無理難題でも、「自分のやっていることは、少なくとも父ちゃんも母ちゃんも正しいと信じていることなんだ。だから安心さ。」という心持ちが大切なのだ。親はドッシリしていること。ガソリンの値段が上下しようが、小麦粉が高騰しようが、「ちょっと節約すればいいだけじゃん!みんな、何、騒いでいるのかしら?」くらいの、安定系の親が子どもを救う。「ウチは裕福じゃないから、塾に行かせられないけど、父ちゃんが、みっちり教えてやるから安心しろ!私立の学費は、なんとかするから子どもはそんなこと心配するな!」と、少々理不尽ではあるが、それくらいの気概だと、「なんだかわからんが、父ちゃんを信じてみるかぁ」となるだろう。
なかには、子どもの自主性に任せ「おまえ(子ども)が決めなさい。お父さんはどっちでもいい。」というご家庭もある。それはそれでハードでよいとは思う。そのような教育姿勢も素晴らしい。が、一般的にはオススメできない。私立に行くのか公立に行くのがどっちが適切か?その判断は12歳の子どもには酷。「親が導く」という姿勢が欠けていては、ツメ段階で、道に迷う。「希望が叶(かな)わないなら公立に行く」も、結果としては、やむをえない。が、それを前提に学習に臨まないように。そういった曖昧(アイマイ)な姿勢は、受験生本人のパワーもモチベーションを下げてしまう。
■親子関係が健やかであること
子どもたちは、高性能空気清浄機ルームとか、窓から碧(あお)い海を見渡すとか、そういう物理的環境よりも、周囲の人間環境に大きく依存している。その軸は親子関係。(私はあえて区別。「父子関係」「母子関係」。機会があればお話ししたいと思う。)3人兄弟の勉強部屋が台所の食卓だろうが、親子関係があたたかく健やかなら、受験勉強に支障ないはず。私も実際にそういう生徒も見てきた。親子が健全であれば、不合格でも、「あ~、オイラ落ちちゃったよ~、でも、これからバンカイするよ!」と、さわやかな展開が期待できる。逆に、親子が不安定だと、晴れて名門校に合格しても、その後の成長に危険をはらむ。学習意欲、というか生活や成長に重大な悪影響をもたらす。と思う。
さて、親子関係を健全に、といわれても・・・、だろう。それは、それぞれのご家庭で、悩み考えていただきたいのだが、以下、アドバイス2点。
1点目。くれぐれも、子どもを失望させるような言動を避けてほしい。特に「ずるい」「だらしない」はNG。小学校高学年は、大人が考えている以上に、周囲への批評眼を備えている。それまで絶対的だった親も、批判の対象と化す。親も教師も、その精神発達段階を意識するべきだろう。「な~んだ、パパって、イイワケばっか。私、な~んか、ガッカリ・・」と見捨てられたら終わり。両親には、そもそもの期待が高いため、逆に、絶望も深い。
2点目。毎年の叫びではあるが、両親(夫婦)の意見は一致させてほしい。母VS父バトル家庭は、子どもの心に少しずつ傷を残している。意見の相違はあるでしょう。その場合は、必ず子どものいない場面でじっくりと理性的にと話し合って、少なくとも対子どもとしては統一した姿勢で演出?してほしい。夫婦の教育論争を子どもに見せないように!なお、昔に比べると最近はお父さんも熱心で、よき傾向だが、やっぱり父親の無関心傾向が残るらしい。「受験のことは母(妻)に任せているので。」と開き直るお父さんが多い。それって責任逃れでしょう?妻に任せて自分は何をしているんだ!といいたくなりますが・・・。賢いムーブ読者のご家庭はけっしてそんなことがないように願う。
■コミュニケーションが豊かであること
今はまだ6月。あるいは、まだ5年生。今の時期に、体制を整えておこう。受験が近づくにつれ功を奏するのが、親子のコミュニケーション。親子コミュニケーションの重要性には2つの観点がある。
まずは、先にお話ししたような、健康観点。子どもたちは、親の庇護(ひご)を求めているため、豊かで健やかなコミュニケーションこそが、心身の安定の源。ベタベタとおしゃべりしなくてもよい。
基本は子どもを「寂しい状況じゃないか?」「圧迫していないか?」ということ。ゆえ、コミュニケーションは量ではなく質。難しい精神医学や児童心理学の先生の教えも横目で読んでほしいが、そんなに難しく構える必要もないのでは?挨拶というか、声かけが要。塾から帰ったら、「お帰り~、今日、塾で先生に叱(しか)られなかった~?」などと、軽く声をかけることって、大事。(あくまで「声かけ」。尋問ではない。)これは大人でも、うれしいでしょう?そして、できる限り、ハナシを引き出して聞いてあげること。
今回特にお話ししたいのは2つ目の観点。「報告・連絡・相談」の文化。
バッドニュースこそ、早く適切な手段で報告しろ!と教え込むこと。心身の不良、学校や塾でのトラブル、勉強のツマヅキ、など、遠慮せずに報告する習慣を早くから制度化しておこう。これは、危機を救う。素敵な便りは、黙っていても得意げに語るだろう。ところが、バッドニュースは、隠す。叱(しか)られるのが怖いから。心配させたくないから。ゆえ、まずは「何か困ったことがあったら、ちゃんと報告してね」という環境を整える。急に制度化しても機能しない。「何かあったの?」って問い詰めても、かえって口を閉ざす。ゆえ、日々のコミュニケーションのなかで、徐々に家庭内の文化として熟成してほしい。
すでに、そのような文化ができていても要注意。小学校高学年にもなると、「むむ、この子、今までとちょっと違うな?」という場面が多いでしょう?小学生高学年は、早い子どもは親離れや思春期が始まる。急に秘密げになることもある。
さらに脅しておこう。一見、幸福な親子コミュニケーションがある家庭も油断大敵。なぜか?それは、むしろ精神的に落ち着いている子どもの方が、自立心が強く、また親への気遣いもできるから。そこで、無理をしたり、親に心配かけないように隠したりする心理が働くのだ。最悪の事態に悩んでいても、報告を躊躇(ちゅうちょ)してしまうのだ。これは怖い。
親子コミュニケーションの2つの観点。実は、目的は同じ。それは、「子どもの変化に早く気付くこと」。特に学校や塾から帰宅直後のタイミングは、「変化」がわかりやすい。よく観察してほしい。
■中学入試の今を正しく理解していること
主体的に中学受験にかかわってほしい。そのために、まずは今の日本の教育がどのような状況なのか知ってほしい。日本の教育は何処(いずこ)に行くのだ!などと憂うのは、とりあえず後回しだが、とりあえず現実を受け止め、対策を講じよう。ちなみに、私立学校界は、一時期(バブル~崩壊期)に比較し、落ち着いた状況にあるが、大学受験は劇的な変革期。情報を追っておこう。そして、もちろん、私立中学校の今については、コツコツと情報収集しておこう。(ただし、受験マニアになる必要はない)
塾のイイナリニ陥らないように。お母さんのコーヒーショップ井戸端会議のウワサ話に、いちいち「へぇ~っ」と、うなずかないように。
中学入試の学習内容も体感しておこう。とりあえずウチの子には無縁そう?だけど、開成や桜蔭の入試って、どんな問題が出題されているのだろう。そういう興味を持とうじゃないか!子どもが眠っている間にちょっと「こそ勉」しておこうじゃないか。ちなみに、大人として知らないと恥ずかしいということがあるので、油断なきよう。特に理科社会。議院内閣制の仕組みくらいは、確実に説明できるように!「おとうちゃんも、小学生のトキはできたんだけどなぁ」って、子どもにとっては、意外に受け入れがたいイイワケなので、安易に口にしないよう。
教育環境・学校情報・学習内容。保護者の方は、受験生本人以上に学ぶ姿勢が求められる。
受験は受験。厳しい。勉強もたいへん。親にも厳しさが必要。中途半端に甘やかさないように。ダメなものはダメ。努力しなけりゃ達成もない。人生のあたりまえの理を、しっかりと教えてほしい。
でも、「厳しいけど、いざというときは、パパもママも守ってくれるさ」という安心感・信頼感こそが、受験生家庭の何よりも大切な必須条件。それさえあれば、健やかに、歩み続けるだろう。
以上。鶴亀。今年は、比較的ソフトタッチだったかな?
*鶴亀算太郎 (ツルカメ サンタロウ) ムーヴ編集部のご意見番。元進学塾勤務。
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